黒文字(国産材:黒文字)
くろもじ
ようじ/殺菌効果/クロモジ
黒文字でお菓子を召しあがってみませんか。
黒文字(くろもじ)はクスノキ科の落葉低木で、葉や枝をこすると柑橘系のいい香りがします。そのため古くから、箸や楊枝の材料として使われてきました。今でもお茶席などでは、和菓子をいただくのに使う楊枝を「黒文字」と呼びます。殺菌効果が強いため、江戸時代には歯ブラシ代わりとしても使われたようです。そして、“黒文字”の名の由来は、若枝の表面にでる斑紋を文字に見立てたことから、といわれています。
おもにお茶席で使われる印象が強い黒文字ですが、ご家庭でも特別な日やちょっとしたパーティーの席などに、香りのよい黒文字をご用意して、ゆったりとしたお茶の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
切りたてが最上と言われる黒文字ですが、ご家庭でご使用になられる場合は、使う前に水に浸し、色と香りを引き立てることで近い状態が出せるそうです。これは茶道の心得だそうですが、水で清め、押さえぶきをすることは、餡や皮がつきにくくなるための配慮にもなるそうです。
ところで、茶席で使われる黒文字は、懐紙に包んで持ち帰ります。楊枝の裏に日付や茶会の場所、菓子の銘などを記し、記念として保存するそうです。四季折々のおもてなしの心を大事にする日本文化の思いが伝わってくるような作法ですね。