森のクイズ

森のクイズ

日本の森に関するさまざまなトリビアをクイズにしてみました。
毎月1問連載しています。

Q
Q森のクイズ No.139

地球温暖化で森林がCO2放出源に?

2021年1月。急激に地球温暖化が進むと、今後20~30年以内に森林がCO2の吸収源ではなく、放出源になってしまうという衝撃的な研究結果が発表されました。その理由は光合成に関係があります。何が起きるのでしょう?

  • 急激な温暖化で光合成をやめてしまう。
  • 急激な温暖化で光合成が頭打ちになる。
  • 急激な温暖化で光合成でもCO2を出すようになる。
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正解

2急激な温暖化で光合成が頭打ちになる。

植物は二酸化炭素(以下CO2)を放出も吸収もしています。植物が呼吸すればCO2を吐き出し森は放出源となり、植物が光合成すればCO2を取り込み森は吸収源となります。一般的にはその吸収量が放出量を上回っているので、森林はCO2吸収源だと言うのです。

では、なぜその森林がCO2放出源になってしまうのでしょうか?

呼吸と光合成それぞれについて細かく見ていきましょう。他の生物と同じく植物も呼吸をしています。生命活動に必要なエネルギーを生み出すために酸素を取り込んで、水と二酸化炭素(CO2)を放出します。一方植物は光合成を行います。この時は逆に水と二酸化炭素(CO2)から炭水化物などの有機化合物をつくり、酸素を放出します。現在は呼吸で放出するCO2よりも、光合成に利用し吸収するCO2の方が多いため、トータルで見ると植物はCO2を吸収していることになります。例えば林野庁は36~40年生のスギ人工林1ヘクタールが1年間に吸収する二酸化炭素の量は、約8.8トン(炭素量に換算すると約2.4トン)と推定しています。

ところが、北アリゾナ大学のキャサリン・ダフィ氏率いる研究チームによると、植物の光合成は、気温が上がると盛んになる現象も見られるものの、地球全体の光合成能力は一定の気温で頭打ちになってしまうのだそうです。一方、呼吸量は気温の上昇とともに全ての植物で増加し、上限がないらしいことも分かったというのです。

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出典:国立環境研究所ホームページ 環境儀 No.28> 研究者に聞く!!より
「森林生態系の炭素収支プロセス」

研究チームは、熱帯雨林や北方林(亜寒帯林)など最も多くのCO2を蓄積している生態系のCO2吸収能力が、2050年までに45%以上低下する恐れがある、早ければ2040年までに地上の生態系におけるCO2吸収量は半減すると指摘しています。つまり、どこかの時点で光合成と呼吸のバランスの逆転が起きてしまうということです。

古くは2009年に、広島大や国立環境研究所の研究チームがやはり「地球温暖化がこのまま進むと、森林がCO2の発生源になる」と発表しています。このチームは土壌から放出されるC02に注目し「21世紀半ばには、土壌で微生物が落ち葉などを分解する際に放出するCO2が、樹木が光合成で取り込むCO2を上回る」という仮説をまとめています(“土壌呼吸”に注目した研究はその後も継続し、2021年2月に成果報告書を提出しています)。

いずれにせよ、温暖化対策では森林がCO2を吸収することが前提で計画が立てられてきました。もしもその前提が崩れてCO2の吸収が見込めなくなり、それどころか森林そのものがCO2の放出源になってしまったら、温暖化対策の想定が崩れてしまいます。まさに地球温暖化対策は待ったなしということがわかります。

こちらもどうぞ
私の森.jp>森のクイズ > 炭素量の多い土壌はどこの森に?
私の森.jp>おもしろ森学 森学ベーシック:4.森と地球温暖化:CO2吸収源としての森

参考リンク
AFP「温暖化で2050年には森林がCO2放出源に、研究」
林野庁「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」
木の情報発信基地「温暖化で森林がCO2発生源に? 広島大教授ら仮説」(朝日新聞記事)
アジアの森林土壌有機炭素放出の温暖化影響とフィードバック効果に関する包括的研究_国立研究開発法人国立環境研究所_梁 乃申_令和元年度_環境研究総合推進費終了成果報告書(2-1705)

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