どうしてアリは植物の種を運ぶ?
自分では移動できない植物は動物や昆虫などに種を運ばせることがあります。たとえばスミレはアリに種を運ばせることで離れた場所で発芽することができます。アリはどうしてスミレの種を運ぶのでしょうか?
- 種の付着物が好物だから
- 種そのものが好物だから
- 種を仲間だと思いこむから
1種の付着物が好物だから
アリとスミレの花
スミレの種には、エライオソームというゼリー状の物質が付着しています。アリが種を運ぶのは、このエライオソームを巣に持ち帰って食べるためなのです。エライオソームの成分には、グルタミン酸などのアミノ酸、ショ糖などの糖、そして、オレイン酸などの脂肪酸が含まれており、アリを誘引することが判っています。
種にエライオソームが付着している植物は、スミレ科の他に、ユリ科、ケシ科、アオイ科、シソ科、カタバミ科などで、およそ200種もあると言われています。巣穴に着くとアリは食べ物のエライオソームと種を分離し、不要になった種は捨ててしまいます。スミレなどの植物はこのようにして、アリの巣穴やその近くで発芽のチャンスを待つことになります。
このような現象を、アリ散布、アリによる種子分散共生などと呼びます。植物が昆虫や動物をつかって種子散布する方法には、動物のからだにくっついて運ばれる動物付着散布や、いったん食べられたあと糞に混じって排出される動物被食散布、リスなどが貯蔵のために埋めて忘れてしまった種が発芽する貯食型散布などがありますが、アリ散布は種そのものではなく、付着物のエライオソームを利用する点がユニークですね。
参考リンク:
スミレの種はアリ散布
アリにタネを運んでもらう植物のしたたかさ|種子分散共生とは?
種子散布
エライオソーム
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