イネの葉のトゲは何でできている?
触り方を間違えると手を切ってしまうこともあるイネの葉。その理由は葉の縁にあるノコギリ状に並んだ小さな小さなトゲのせい。ではこのトゲ、どんな成分でできていると思いますか?
- ガラス
- 金属
- 炭素
1ガラス
イネの葉のふちには鋭いトゲがギザギザに並んでいます。このトゲ、実はガラスとほぼ同じ成分でできているのです。植物は土壌中の珪酸を根から吸収し、決まった細胞の細胞壁に蓄積し、ガラス質の細胞体を形成します。
特にイネやササやタケなどのイネ科や、カヤツリグサ科、シダ植物、コケ植物において含有量の高いことが知られています。細胞がすっかりガラス質に変わったものは、「プラント・オパール」と呼ばれます。
イネの場合、葉の縁のトゲだけでなく、葉の筋や表面にもプラント・オパールを作っています。このようにして丈夫で乾燥に強い体を作り上げています。タケの場合、プラント・オパールによる植物骨格組織が規則正しく密集することで、グラスファイバーのようによくしなり、きわめて電気を伝導しにくい性質となっています。
イネのプラント・オパール
(出典:宮崎大学農学部HP「のうがく図鑑」)
また、プラント・オパールはガラス質のため、植物が枯れても朽ちることなく土の中に残り続け、数万年は消失しません。植物ごとに形や大きさに特徴があるので、地層に含まれるプラント・オパールの種類を調べることで、過去にどのような植物が存在していたのかを知ることもできます。いわば植物の化石と言えるでしょう。
例えば水田では、イネを収穫した後の葉や茎は、土に還されます。何年にもわたってイネを栽培した水田の土には1g当たり数千~数万個ものプラント・オパールが含まれることになります。つまり、イネのプラント・オパールが含まれる地層と範囲を探査することによって、国内外を問わず、古代水田の場所と規模がわかるのです。
残念ながら、元が細胞ですので大きさは、100ミクロン(10分の1ミリ)程度しかありません。顕微鏡なしでは見ることができませんが、今度イネのトゲでちくっと感じたら、植物がつくる宝石、プラント・オパールのことを思い出してみてください。
参考リンク
植物の宝石 プラントオパール(NHK for School「ミクロワールド」)
※プラントオパールの映像が、動画の40秒あたりからご覧いただけます。
※さまざまなプラント・オパールの顕微鏡拡大画像がご覧いただけます。
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