森のクイズ
Q
Q森のクイズ No.165

オツネントンボのオツネンって何だ?

細くて弱々しいイメージのイトトンボ、その仲間にオツネントンボという種がいます。オツネンって何? ヒントはその暮らしぶり、トンボには珍しいその生態とは?

  • 卵は親のお腹の中で幼虫に孵(かえ)る
  • 幼虫(ヤゴ)の姿で成熟する
  • 幼虫(ヤゴ)は変態してさなぎになる
  • 秋に羽化した成虫はそのまま冬を越す
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正解

4秋に羽化した成虫はそのまま冬を越す

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オツネントンボ
(撮影:私の森.jp編集部員 上原健さん)

オツネンを漢字で書けば「越年」、成虫のステージ(つまりトンボ)で越冬する習性が名前のもととなっています。というのも日本では約200種以上ものトンボが記録されているのに、成虫越冬するのは3種のみ、オツネントンボの他には、ホソミオツネン(細身越年)トンボホソミイト(細身糸)トンボしか知られていません。

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写真上:ホソミイトトンボ
写真下:ホソミオツネントンボ
(撮影:私の森.jp編集部員 上原健さん)

3種とも、木の皮の下、枯れ枝が積み上がっているところ、看板などの人工物の隙間などに小さくて細い身体を潜め、春がくるのをじっと待ちます。

成虫で越冬する利点は、ほかのライバルたちがまだ卵や幼虫のうちに、春真っ先に食物や産卵場所を独占できることです。トンボはみな肉食なので食物は他の昆虫やクモなどですが、小さなトンボは大きなトンボに捕まって食べられてしまうことも普通です。成虫越冬する3種とも小さなイトトンボ型なので、大きなトンボが出現する前に活動を始めるメリットは大きいのです。

とはいえ、成虫越冬は、冬の厳しい寒さと乾燥、気候変化を受けやすく、ダメージが大きいので春と夏に活動のピークがあるトンボの多くは、温度変化が少ない水中で「幼虫(ヤゴ)」として冬越しをします。また、秋の風物詩として人気のアカネ属のトンボは、特に乾燥に強い「卵」で冬越しをします。

つまり、トンボの越冬は幼虫成虫の3態のいずれかです。トンボは不完全変態の昆虫なのでさなぎのステージはありません。

古来、秋津(あきつ、あきづ)島という異名があった日本の国土(本州)、その名前の由来については諸説ありますが、秋津とはトンボのこと、湿原や田んぼには無数のトンボが飛び交っていたのでしょう。幸いなことに日本は今も多種多様なトンボが暮らす国、オツネントンボ以外のトンボにも美しい姿・形、興味深い生態を持ったものがたくさんいます。目を向けてみませんか。

参考リンク

神戸のトンボ/トンボの生態学/目次5.季節的制御 /・トンボの生活史の分類/Ⅱ.成虫越冬種の生活史

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