ムササビの特徴は?
木から木へと滑空する、リス科の哺乳類「ムササビ」。その特徴として当てはまらないものは次のうちどれ?
- 滑空する距離は大体6〜7m
- 尾を含めた全長は70〜80cm
- 葉、冬芽、花、果実などの植物食
- 江戸に伝わる妖怪「野衾」に似ている
1滑空する距離は大体6〜7m
「空飛ぶ座布団」の異名をとるムササビは、体長27~48cm、太くて丸い尾を含めると全長70〜80cm。本州~九州に生息する日本固有種です。
首から前肢、前肢と後肢、後肢と尾の間でつながっている「皮膜」を広げて、風を受け、滑空飛行します。鳥のように羽ばたいて飛んでいるわけではありませんが、滑空移動の距離は意外に長く、普段は数十メートル程度、最大で120mほど飛ぶとされています。
高い木のある森、人里近くの社寺林などにも生息し、夜行性。江戸時代の記録にある「野衾(のぶすま)」は、ムササビが“妖怪視”された存在だという説もあります。「夜の森を歩いていると野衾が空を飛んで来て、目や口を覆われる」と、恐れられていたとか。
→森のクイズNO.128「森の妖怪「野衾」とは?」
そんなムササビですが、時に可愛い「食痕」を残してくれます。一年を通じて様々な樹種・部位を食べている中、葉を「半分に折って食べる習性」によって左右対称の食べ痕が残るのです。なぜ半分に折って食べるのでしょうか。
ムササビの食痕あと
(盛岡市動物公園 ZOOMO 提供写真)
首都大学東京の研究室が発表した論文では、ムササビに食べられた落葉樹のクヌギと常緑樹のツクバネガシの葉を調査した結果、次のようなことが明らかになりました。
- ムササビは、先端部を食す(タイプA)、基部を食す(タイプB)、中心部を食す(タイプC)と3種類の葉の残骸を残す。ツクバネガシではタイプAが多く、クヌギではタイプBとCが多く見られた
- 葉のフェノール濃度と含水量は、ムササビがどの部分を食べるかに影響する
- ムササビがどの樹種の葉を食べるかは、糖濃度の影響が大きい
ところで、あなたはムササビとモモンガの区別がつきますか?どちらもリスの仲間で森に棲み、滑空飛行で木から木へと移動します。
私の森.jpスタッフ撮影:フォレストアドベンチャー・小田原の森林で撮影 2024/10/19
※当日は、森林インストラクターさんの引率のもと、ムササビの安全に配慮をした上で撮影しました。
一番の違いは体の大きさ。ムササビが座布団サイズ、モモンガはハンカチサイズと言われるほど小柄です。その一方でモモンガは、顔に対してとても大きな目をしています。愛くるしい瞳という印象を持つ人も多いかもしれません。
また、ムササビは後足と尾の間にも皮膜がありますが、モモンガは前足と後足の間のみという違いもあります。
森を歩いていて真ん中に穴のあいたアラカシなどの葉が落ちていたら、ムササビのサインかもしれません。夜行性で昼間は出会えないので、暗くなったらいざムササビウォッチングへ。静かに木を見上げ、彼らが巣から出てくるのを待ちましょう。
参考リンク
ムササビ・モモンガ入門 ―今さら聞けない2種の違いと野外観察のコツ
どっちがどっち?【まぎらわしい動物】モモンガとムササビ、見分けられる? どうちがうの?
自然教育研究センター「ムササビのごはん」
冬の野生動物をフィールドサインから見分けるコツ【後編】食べ跡と生活痕
論文:Seasonal changes in leaf chemistry and leaf selection of the Japanese giant flying squirrel upon two tree species
盛岡市動物公園ZOOMO 「ムササビ」
ゲスト出題者募集!
編集部では、面白いクイズ出してくださる出題者を募集しています。
私の森.jpの編集活動にご協力いただける、素敵なみなさまからのご連絡をおまちしております。