なぜトンビは手元から食べ物をさらえるの?
「トンビに油揚げをさらわれる」と慣用句がありますが、実際に手に持っていたおにぎりやパンなどをトンビにさらわれた経験のある人もいるのでは? ではなぜ他の鳥でなくトンビだけがそんなことができるのでしょうか?
- 羽根が消音構造になっているから
- 羽音が人間の可聴域外だから
- 羽音を立てない飛び方ができるから
3羽音を立てない飛び方ができるから
一般的に、鳥は羽ばたいて飛んでいる印象がありますが、トビは、翼を広げたままですべるように飛ぶ「滑空(グライディング)」ができます。
特に気流などに乗ることにより羽ばたかずに飛ぶことができます。この飛び方を「帆翔(はんしょう)」、「ソアリング(soaring)」などと呼びます。聞き慣れない単語ですが、ディズニーランドのアトラクションの「ソアリン」と同じといえば馴染みのある方も多いでしょう。
ソアリングをすることで、トビはほとんど羽音を立てずに滑空することができます。さらに視力が優れているのでかなり上空からでも狙いをつけることができ、ターゲットとなった人の死角から一気にさらうことができるのだと考えられています。
ちなみに、鳥の飛び方を細かく分類すると、
- 直線飛行:スズメ、キジバト、カラス類など。はばたき飛行で直線的な飛び方。
- 波状飛行:ヒヨドリ、キツツキ類、セキレイ類など。はばたき飛行と休憩を交互に繰り返す飛び方。波線のような軌跡に見えます。
- 滑翔:ツバメ、タカ、ワシなど。羽ばたかずに滑空する飛び方。グライディングとも呼ばれます。
- 帆翔:トビ、サシバなど。上昇気流を利用して翼を広げ上空に上昇する飛び方。ソアリングです。
- ダイナミックソアリング:アホウドリ、ミズナギドリ類。帆翔の中で、特に水面の気流を利用した飛び方をさします。
- 滞空飛行:ハチドリ類やカワセミ、ミサゴなど。羽ばたきによって空中の1点にとまるような飛び方でホバリングとも呼ばれます。
のようになります。
ソアリングする鳥を見かけたら、そこに上昇気流があることがわかります。森や山で鳥を見かけたら、それぞれどんな飛び方をしているか観察してみると、大気の状態までわかるとしたら楽しいですね。くれぐれも手元のおにぎりをさらわれませんように!
参考リンク
おさんぽ鳥見「鳥の飛び方6種類を解説!全部知っていますか?」
Wikipedia「トビ」
平塚市博物館「野鳥の観察 (2.飛ぶ) 飛び方のいろいろ」
ナショナル ジオグラフィック「アホウドリに学ぶ未来の航空技術」
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