森のクイズ
Q
Q森のクイズ No.159

ヌルデの果実は何味?

ウルシの仲間で、虫コブができることでも知られるヌルデ。その果実の表面を覆う白い粉は、どんな味がするでしょう?

  • しびれる辛味
  • 酸味と塩味
  • ほのかな甘味
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正解

2酸味と塩味

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ヌルデはウルシ科ヌルデ属、山野の林縁などに生える落葉小高木です。明るい場所を好み、森林が伐採や山火事などの撹乱を受けた後に真っ先に出現する、いわゆるパイオニア植物の一つに数えられます。

呼び名については、樹液がウルシのように塗料として使われたことから、「塗る手」「塗料(ヌテ)」などからの転訛でヌルデと呼ばれるようになったとの説があります。葉は、縁のギザギザが目立ち、表面は毛が多くザラザラで、葉軸に翼(よく)があるのが特徴。秋には赤・橙・黄・茶色などが混在した美しい紅葉を見せてくれます。

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ヌルデの葉と翼

そして、問題の果実。10 -11月頃になると直径4 mmほどの果実がかたまって多数つき、この果実の表面にあらわれる白い粉のようなもの(正体はリンゴ酸カルシウムの結晶)は、口に含むと酸味と塩味がするそうです。

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ヌルデの実(左)と結晶化して白くなった実(右)

昔、信州ではこれを煮て塩の代用にしたとか、戦時中の困窮時代には塩代わりに利用したとも言われています。別名「シオノキ」と呼ばれる所以でもあるのでしょう。ただ、成分として塩分は含まれていないとの指摘もあります。味覚には個人差があるので、塩味を感じる人も感じない人もいるのかもしれません。どこかでヌルデの実を見つけたら確かめてみたいものです。

また、ヌルデにはしばしば大きな虫癭(虫こぶ)が見られます。

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ヌルデの五倍子(ごばいし)

これはヌルデシロアブラムシが寄生して、葉が刺激されこぶ状に肥大したもので、五倍子(ごばいし)、付子(ふし)と呼ばれ、タンニンが豊富に含まれています。タンニンは、鉄と反応することで黒紫色となり、伝統的に「空五倍子色(うつぶしいろ)」をはじめ、「藤鼠色」、「青灰色」、「紫鼠色」など紫がかった鼠色や墨色を染めるために用いられました。また、五倍子の粉は女性たちの「お歯黒」にも使われたそうです。

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左から、空五倍子色、藤鼠色、青灰色、紫鼠色

薬としては疱瘡や歯痛の治療に、木材としては柔らかく色が白いことから細工物や護符に多用されています。このようにヌルデは、古来日本で幅広く利用され、里山の暮らしと深い関わりがあったのですね。

参考リンク
月刊杉|いろいろな樹木とその利用/第8回「ヌルデ」
木のぬくもり・森のぬくもり|樹木図鑑(ヌルデ)
WIkipedia|ヌルデ
MAITO DESIGN WORKS|五倍子染ふしぞめ
高崎市文化施設サイト【文化施設】染料植物園|自然を染める ヌルデ

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