雪の結晶ってどんな形?
雪の結晶と聞いて思い浮かぶのは、六角形のあの形。実は、他にも沢山の種類があります。どの位あるでしょうか?
- 30種類以上
- 70種類以上
- 100種類以上
3100種類以上
まずは、雪の結晶のはじまりのお話から。
雪は雲の中で生まれます。雲の粒は−20℃前後までは水滴の状態で存在し、−40℃位までの間に氷の粒(氷晶)に変化します。天候が不安定になると、氷晶と水滴の両方を含む雲が発生して、氷晶が周りの水滴から水蒸気を奪って成長すると、雪の結晶が生まれます。そうして大きく重くなった結晶が地上に落ちてきます。
雪の結晶にはひとつとして同じ形はないと言われており、形状タイプとしては105種類にものぼります(霙や雹などを含むと121種類)。まず大分類として、六角柱状の「柱状結晶群」、平板状の「板状結晶群」、それらが組み合わさった「柱状・板状結晶群」などがあります。
「柱状結晶群」は、細長く伸びた「針状結晶」、刀をおさめる鞘に似た「鞘状結晶」、大砲の弾のような「砲弾状結晶」などの中分類に分かれ、それぞれの中にさらに異なる形状タイプの結晶が存在します。鉛筆や変身ロボットを連想するような面白い形もありますよ。また「板状結晶群」の「樹枝状結晶」は、6本の枝に小枝が付いた雪の結晶の代表的な形ですが、さらに細かな形状の違いがあり、シンプルな「星六花」、木枝のような側枝をもつ「樹枝六花」、シダ植物に似た「羊歯六花」の3種類に分かれます。
雪に魅了され、世界で初めて人工雪を作ることに成功した中谷宇吉郎博士(1900~1962)は「⼈間の眼が、いまの⼗倍か⼆⼗倍くらいに拡⼤されたら、雪⼭など、もったいなくて、とても歩かれないであろう」と語っています。「雪の結晶」の一言では括りがたいほど、豊かなミクロの世界が広がっているのです。
では、雪の結晶の形は一体どのように決まるのでしょうか。その秘密は「気温」と「水蒸気量」にあります。例えば、樹枝状結晶は−15℃前後で水蒸気が豊富なときにでき、同じ−15℃でも水蒸気が少ないと角板になります。また、気温が−6℃位で水蒸気が多いと針の結晶ができ、角柱は水蒸気量が少なく−3~−10℃、または−22℃以下の環境でできるそう。
このように、私たちは雪の結晶から遥か上空の気象を知ることができるのです。前述の中谷博士は「雪は天から送られた手紙である」という言葉でこれを表現しています。
ちなみにこの中谷博士、雪の研究にとどまらず、とってもユニークな人物なんです。寺田寅彦の指導を機に実験物理学の道に入り、電気火花の研究、霧を消す研究、洪水の調査、「立春に卵が立つ」という世の誤った通説を正す実験(!)などの多岐にわたる実績を残しながら、随筆の執筆や「岩波映画製作所」の前身である映像プロダクションの発足までしているという多才ぶり。興味を惹かれたあなたは、中谷博士の著書もぜひ手に取ってみてください。
冬が深まり、木々が雪化粧をする時期には、雪の結晶の世界に心を向けて楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考リンク
SNOWNOTES|雪の結晶の種類:「グローバル分類」からみる雪の結晶121種類
WILD MIND GO!GO!|神田健三|雪の結晶を観察し、天からの手紙を読んでみよう
中谷宇吉郎 雪の科学館|中谷宇吉郎について
参考画像
yukitohana.exblog.jp「彩雲」より『骸晶砲弾と角板(カップ状?)』
yukitohana.exblog.jp「彩雲」より『砲弾集合』
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