2ツチアケビ
ツチアケビの果実の様子
(撮影場所:遠野市/編集部スタッフ撮影)
光合成をしない植物といえば、白く幻想的な姿のギンリョウソウ※が有名ですが、ツチアケビも実はその一種です。 ツチアケビ(土木通、学名:Cyrtosia septentrionalis)は、森林内に生育するラン科植物で、日本固有種。果実がアケビの形を思わせることから付いた名と考えられますが、つる性のアケビとは全く異なる植物です。葉緑体をもたないため、光合成を行いません。
(※)ギンリョウソウ
私の森.jp写真部>私の森.jp写真部 ギャラリー「銀の竜」
一般的に植物は、土中の根の部分で菌類と共生しながら生育しています。光合成から生まれたエネルギー(光合成化合物)が植物から菌類に供給され、菌類から植物には土中の養分が供給されるという関係性です。
それでは、光合成をしないツチアケビは一体どのように生育しているのでしょうか? じつはツチアケビは、菌類にエネルギー(光合成化合物)を供給することなしに、一方的に菌類から養分を受け取ることで生育しています。 このような植物は「菌従属栄養植物」と呼ばれます。興味深いことに、菌従属栄養植物と菌類の関係性においては、今のところ菌類が受けるメリットが解明されておらず、「植物が菌類に寄生しているのでは」という説もあります。 菌従属栄養植物の生育は特定の菌類に強く依拠することから、絶滅危惧種を含めて希少植物が多いようです。
今後も研究が進むにつれて、新しい発見が沢山ありそうな菌従属栄養植物。引き続き注目したいですね!
参考リンク
Wikipedia「ツチアケビ」
鳥取大学大学院 連合農学研究科/鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター 助教 大和政秀「光合成をしない植物(菌従属栄養植物)の菌根共生」(PDF)
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