1アントシアニンの合成が進むため
夏に咲く一日花のスイフヨウ(酔芙蓉)は、花色が変化するのでよく知られています。咲き始めの朝は純白、次第にピンク色になり、夕方には紅色になってしぼんで行きます。 これはアントシアニンの生合成が、午後以降急速に進むためです。細胞内でアントシアニンを生合成する酵素が活性化し、花弁にアントシアニンが蓄積されます。この生合成は温度が25度以上だと進みますが、低温だとあまり合成されないこと、および紫外線には影響されないことがわかっています。
同じようにアントシアニンが作用している例として、ニオイバンマツリの色変化が挙げられます。ガーデニングでも人気のこの花は、咲きはじめの紫色がだんだん薄くなって2日ほどで真っ白に色を変え、見る人を魅了します。これは同じアントシアニンの働きでも、スイフヨウとは反対に、もともと花弁に含まれるアントシアニンが、酸化酵素によって徐々に分解されることから起こるとされています。
ニオイバンマツリの花
花や葉の色を発現させる色素には、フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルなどもあります。黄色を現わす色素はフラボンやカロテノイド、緑色はクロロフィル、ベタレインは赤色や黄色を現す色素。秋の紅葉の色調を決めるのも、アントシアニン、クロロフィル、カロテノイドの3種の色素。色素が作られるためには光が必要で、細胞のpHや金属イオンの影響などでも色調が変わってきます。
他にもバラやアジサイなど、花色の移ろいを楽しませてくれる植物はさまざま。アジサイは土壌の酸性度によって色調が変わると言われていますが、どうやらそれだけでもないようです。色の変化というポイントで植物を観察したり調べてみたりするのも面白そうですね。
参考リンク
花の色の変化の理由〜植物Q&A
植物の葉色や花色が変化する仕組み【植物学基本講座】
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