1ドクダミ
梅雨から夏にかけて花を咲かせる「ドクダミ」は、身近な場所でよく見かける植物ですね。独特な強い臭いと旺盛な繁殖力から、厄介な雑草として扱われることもありますが、「ゲンノショウコ」「センブリ」とともに、古くから日本の三大民間薬として親しまれてきました。
「毒痛み」に効くことが、名前の由来と言われています。生の葉をもんで、虫さされなどの腫れ物にはると毒を吸い出してくれる、風呂に入れれば腰痛に効く、煎じて飲めば利尿薬として尿道炎、高血圧の予防にも効果ありとのこと。まさに、頼もしい「十薬」ですね。
他にも、日本で古くから薬草として用いられてきた、四季折々の植物たちをご紹介します。
春 モモ
古くから、理想郷のことを桃源郷と呼ぶように、モモには邪悪を払う力があると考えられてきました。生薬の「桃仁(トウニン)」は、モモの果実の核にある種子を指し、血液の循環をよくする消炎性の駆瘀血薬(くおけつやく)として、婦人の更年期障害などを改善する漢方に配合されます。
写真は生薬の「桃仁(トウニン)」: モモの成熟した種子を乾燥させたもの。
夏 ユリ
生薬名は百合(ビャクゴウ)といい、2000年前の中国の薬物書「神農本草経」にも収載されています。咳、吐血の症状に利用されたり、切り傷やあかぎれに、ユリの花粉をゴマ油で練ったものを外用することもあります。
秋 キク
生薬名は「菊花(キクカ、キッカ)」といい、キクやシマカンギクの頭状花を乾燥させて用います。特に目の症状に効くとされ、視力減退や目のかすみに適用される漢方に用いられます。また、刺身に添えられる黄色の菊の花には魚毒を抑える働きがあるんだそう。
冬 ナンテン
秋から冬にかけて熟した南天竹の果実を乾燥したものを南天実(ナンテンジツ)といい、咳止めとして、漢方薬やのど飴の原料に使われます。また茎は強壮薬として、根は頭痛、筋肉痛にと、部位によって多様な目的に用いられます。
薬草は、人びとの経験の積み重ねから築き上げられた民間薬。姿形の似た有毒な植物があったり、薬草としての採取に適する時期も様々だったりと、注意点もあります。じっくり調べて、薬草の世界を楽しんでくださいね。
参考リンク:
奈良県薬剤師協会|ドクダミ
全日本民医連|くすりの話 身近にある薬草
日本家庭薬協会|季節の生薬について
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