3オオイタチシダ
牧野富太郎博士(1900年38歳頃)
撮影場所:東京帝国大学理科大学植物学教室
富太郎と寿衛(1924年8月)
牧野富太郎は、日本全国をまわって膨大な数の植物標本を作製し、多数の新種を発見して命名も行った近代植物分類学の権威。94年の生涯に1500種類以上の植物に学名を与え、収集した標本は約40万枚に及びます。
1)のスエコザサは、牧野の研究生活を支えた亡き妻「小沢寿衛子」の名を冠した献名として知られています。和名の命名においては、ワルナスビ、ヤッコソウなどその植物の性質や見た目を巧みに言い当てていると思われるものがある一方で、2)のハキダメギクなどは発見場所の様子「掃き溜め」がそのまま名前に。他にも、ヤマトグサ、サカワサイシン、トサオトギリ、ヤハズマンネングサ、ビロードムラサキ、ヒナシャジン、ソナレノギク、オオトウヒレン、ジョウロウホトトギス、ムカデラン・・・など、名前の由来を想像するのも面白いです。
3)のオオイタチシダは、京都大学教授でシダ植物の分類学的な研究者、田川基二による命名でした。
なお、一口に「命名」と言ってもその定義は難しく、「学名を発表した」「学名を組み替えた」「和名を発表した」など細かく分かれているようです。ここではそれらをまとめて「命名」としています。
牧野博士の描いた植物図
上左:「ヤッコウソウ」、上右:「ジョウロウホトトギス」
下左:「ムジナモ」、下右:「ホテイラン」
ボウブラを前にして
(1939年9月8日 77歳頃)
旧制小学校中退でありながら東京帝国大学で理学博士の学位を得て、近代植物分類学の権威となった型破りな人生。「植物は自分の恋人だから正装して会いに行く」と語り継がれるほどの植物愛は、とても計り知れるものではありません。また、天性の描画力があり、自分で植物の絵を描いて当時の日本には存在しなかった日本の植物誌を刊行し、海外の研究者からも高く評価されました。「雑草という草はない」という名言も牧野富太郎が残したものです。これは、まだ作家になる前の山本周五郎に語ったものだとされています。
日本の植物学への功績のみならず、実に多才で、逸話も多い魅力的な人物だったようです。
参考リンク
Wikipedia:牧野富太郎
牧野富太郎博士ゆかりの草花〜高知県立牧野植物園
NHK高知放送局〜『らんまん』のモデル牧野富太郎ってどんな人?弟子が語る
杉並の自然学〜日本産植物学命名者
高知新聞〜「雑草という草はない」は牧野富太郎博士の言葉
NHKオンライン〜連続テレビ小説『らんまん』
本クイズ掲載の肖像画像および植物図画像はすべて高知県立牧野植物園さまよりご提供いただきました。
高知県立牧野植物園
〒781-8125 高知県高知市五台山4200-6
TEL(088)882-2601
FAX(088)882-8635
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