クワガタムシの大顎に関わる遺伝子の名は?
オスのクワガタムシの大顎は、本来昆虫の口のパーツですが、もともと食べるための口の一部を、闘争用の武器に変えてしまったものです。この大顎を形成するための遺伝子にはちょっと意外な名前がついています。その名とは?
- ロブスター遺伝子
- クロコダイル遺伝子
- ダックスフンド遺伝子
3ダックスフンド遺伝子
2017年に北海道大学、名古屋大学、ワシントン州立大学、モンタナ大学の研究グループが発表したプレスリリースによると、同研究グループはクワガタムシの発達した大顎の形成に関わる遺伝子群を特定したそうです。その中の一つの名前がdachshund遺伝子、つまりダックスフンドの名前がついたものでした。
そもそもdachshund遺伝子とは、ショウジョウバエにおいて肢の形成に関わる遺伝子として同定された遺伝子です。名前の由来は、この遺伝子の機能が失われると肢の中間部が欠失してしまい,ちょうど犬のダックスフンドのように短い肢となってしまうことからきていますその後、多くの昆虫でショウジョウバエと同様に肢形成に関わることが明らかになりました。
クワガタムシの大顎は、解剖学的には肢が変化した器官と考えられていますが、実験により、dachshund遺伝子の機能を失わせると、本来大きく発達するはずの大顎が小さくいびつな形態となってしまいました。こうして、 dachshund 遺伝子が正常な大顎の形成と発達に必要であることが明らかになりました。
昆虫の遺伝子に犬の名前がついているのがちょっと面白いですね。ちなみに遺伝子の名前には他にもソニック・ヘッジホッグ遺伝子やピカチュリン遺伝子、ポケモン遺伝子などがあります。遺伝子学者さんは遊び心があるようですね。株式会社ポケモンの警告を受けて改名し現在ポケモン遺伝子という名前は使われていません。
参考リンク
クワガタムシの大顎を形作る遺伝子を特定(PDF)
クワガタムシの発達した大顎を形作る遺伝子とは?
Wikipedia「ソニック・ヘッジホッグ」
Wikipedia「ピカチュリン」
Wikipedia「Zbtb7」
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