3蝋
「雪虫」は、白い雪のようなフワフワをまとって飛ぶワタアブラムシ類を総称した呼び名です。そのフワフワの正体は、蝋。アブラムシが植物から吸い取った汁液から、過剰な炭素が蝋に作り替えられて分泌されたものです。
雪虫は北海道などの寒い地域で特に馴染み深く、冬が近づく10月頃からその姿がみられます。雪虫が舞うと2~3週間後に雪が降り出すことが多いため、初雪を知らせる冬の風物詩ともいわれています。
雪虫が舞う様子
一般的なトドノネオオワタムシから、雪虫の不思議を紐解いていきましょう。
トドノネオオワタムシは、一年のサイクルで幾世代もの生命が繋いでいきます。
卵はモクセイ科の樹木の幹で越冬し、春先に孵化すると新芽や葉に寄生します。夏になると、次世代の翅をもった成虫がトドマツに移動しますが、この時点では白いフワフワは見られません。トドマツの根で数世代が過ごした後、10月下旬から11月頃に産卵を控えた雌がふたたびモクセイ科の樹木へと移動します。
体が小さく飛翔力が低い雪虫は、移動性高気圧で風の弱まった日を見計らって飛び立ちます。この時に見られるのが、白いフワフワをまとう雪虫と呼ばれる姿です。
高気圧の後には雪が降りやすい強い冬型の気圧配置がやってくることが、「雪虫が舞うと雪が降る」といわれる所以のようです。
雪虫は熱に弱く、人の体温に触れるだけで、息絶えてしまうそう。まるで本物の雪のようですね。
不思議がいっぱいの雪虫。あなたは見たことがありますか?
参考リンク
森林総合研究所 多摩森林科学園「雪虫の綿毛はロウでできている」
おしえて!田舎センセイ!「冬に降雪を知らせる雪虫(ゆきむし)とは?生態・生息地・大量発生の原因について」
北海道ファンマガジン「雪虫(ユキムシ)って何?大量発生する理由とは?」
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