ニュース&トピックス

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山梨県の山間部に位置する小菅村は、多摩川の源流の村として知られています。ここでも過疎、少子高齢化が進み、人工林が放置され荒廃するなどの問題をかかえてきました。2004年、小菅村では「多摩川源流再生協議会*」が設立され、山梨県、東京都といった行政区域を越えた一つの河川の流域圏として人々の交流を生み出し、貴重な水や森林資源を通じてものの循環を取り戻すため、さまざまな取り組みを開始しました。

その一つとして2007年10月に始まったのが、「多摩源流水」の取り組みです。1本分の料金のうち、10円が「源流の森再生基金」となり、源流域のスギ.ヒノキの人工林の再生活動、シカの食害防止対策など源流を守るための活動に役立てる、というものです。

「1989年頃から販売してきましたが、大手飲料メーカーに太刀打ちできるはずもなく、流通で扱ってもらえず悔しい思いをしていました。そこで多摩源流水ならではの差別化をはかろうと、2007年、協議会のメンバーと相談して、1本買うごとに10円分、源流の森林再生に役立つ仕組みを導入しました。現在はペットボトルのみに頼らない販売方法を検証中です」(「(財)水と緑と大地の公社」黒川文一事務局長。「多摩源流小菅の湯」総支配人を兼任)

この趣旨に共感して、紙製品を扱う流域の企業が「森林に還元したいから」と購入を決定したり、多摩川流域のサービスエリアや道の駅での販売が決まったりするなど、確かな反応が出てきました。基金への募金や寄付金も順調に集まり始め、2008年9月までの6カ月間に集まった金額はその前の6カ月感の3倍以上になり、徐々に浸透していることをうかがわせます。

「例えば川崎市の『二ヶ領せせらぎ館』では散歩の途中の人が立ち寄って多摩源流水を購入して飲んでくれているようです。多摩川の恩恵を受けている100万世帯とも425万人とも言われる人が、現地まで足を運ばなくても流域の共有財産である源流の森を応援する仕組みの第一歩なんです」(「多摩川源流再生協議会」中村文明事務局長)。

まろやかな味が特徴の「多摩源流水」は、年間10万人が訪れる温泉施設「小菅の湯」の湯上がりに体験できる他、小菅村と交流の深い多摩川流域の東京都八王子市、狛江市や世田谷区や神奈川県川崎市などで手に入ります。流域に住む人が飲むたびに源流に思いを馳せ、森の健康を願うきっかけになる。こんな取り組みが全国の河川で広まるといいですね。

左:「(財)水と緑と大地の公社」黒川文一事務局長
右:「多摩川源流再生協議会」中村文明事務局長

*多摩川源流再生協議会

山梨県、小菅村、環境省、林野庁、源流研究所、東京農大、森林組合、養殖組合、観光協会、NPO法人多摩川エコミュージアムなど25団体36人が参加して結成。自然再生推進法に基づく自然再生協議会として、荒川、釧路湿原、麻機遊水地に続く全国で4番目、源流を拠点としたものとしては全国初の協議会で、全国の源流活性化のモデルとして今後が期待されています。