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森林・林業白書を読もう!:平成23(2011)年版:新たな木の文化を目指して(2)

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森林・林業白書を読もう!:平成23(2011)年版:新たな木の文化を目指して(2)

森林白書 第I章:木材の需要拡大〜新たな「木の文化」を目指して〜。後半では、木材需要の拡大につながる新たな動向について書かれています。その中から、「公共建築物の木造化」と「木質バイオマスのエネルギー利用」に注目し取り上げてみました。

公共建築物の木造化

学校、役所、病院、ホールや体育館、図書館などの公共建築物は、シンボル性が高く多くの人が利用するので、これらを木造で建てることは木に親しみ、良さを理解してもらうために効果的と考えられます。しかし、実際には住宅などに比べて木造率は低くとどまっています。

公立大学法人 国際教養大学 図書館/秋田県

公立大学法人 国際教養大学 図書館/秋田県(※1)

そうした中で、2010(平成22)年、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が成立。同法の施行にともない、農林水産省と国土交通省では、公共建築物については可能な限り木造化・木質化を図り、国が整備する低層の公共建築物は原則として全て木造化を図るとの目標を掲げました。

ここで言う公共建築物とは、国や地方公共団体が整備する公共・公用の建築物に加えて、学校、社会福祉施設(老人ホーム、保育所等)、病院・診療所・運動施設(体育館、水泳場等)、社会教育施設(図書館、青年の家等)、公共交通機関の旅客施設、高速道路の休憩所等。なかでも、耐火建築物とする必要がない低層(3階建てまたは2階建て以下)の木造化が積極的に進められています。木造化が難しい場合でも、内装についてはほとんどの建築物で、床と床からの高さ1.2メートル以下の腰壁の木質化が可能です。

特に、学校施設においては、木材のやわらかさ、あたたかさ、高い調湿性などにより潤いある学習環境を実現するうえで大きな効果が期待できると、文部科学省と林野庁により木材利用が進められ、多くの学校で改築や検討が行われています。栃木県茂木町の例では、中学校校舎の改築に当たり、町有林から4800本の立木を伐採・加工。合計1580立方メートルの丸太、柱材、板材を調達しました。このように、都道府県や市町村、地域との連携による取り組みも増えているようです。

栃木県茂木町。町有林で伐採されたスギ材(壁板・丸太)とヒノキ材(床板)の乾燥工程。

栃木県茂木町。町有林で伐採されたスギ材(壁板・丸太)とヒノキ材(床板)の乾燥工程。(※2)

公共建築物に用いる木材には、JAS規格や合法性などさまざまな要件を満たすことが必要で、これらの規格に合った木材を安定供給できる体制を構築することがさらなる普及につながると期待されます。また、普及のためには、設計の工夫や一般流通材の使用、効率的な木材調達などによるコスト削減、木造建築を担う技術者の育成などが今後の課題です。

 

木質バイオマスエネルギー利用

北陸電力の敦賀火力発電所。2007年7月から2号機にて木質バイオマス混焼発電が行われている。/福井県

北陸電力の敦賀火力発電所。2007年7月から2号機にて木質バイオマス混焼発電が行われている。/福井県(※3)

木質バイオマスに関する近年の動向としては、石炭火力発電所で木質バイオマスを石炭と混合利用する取り組みが進んでおり、2010年末時点で全国16か所の石炭火力発電所が未利用間伐材等の混合利用を実施または計画しています。

また、木質バイオマス利用による温室効果ガスの排出削減量をクレジット化する取り組みも増加。J-VERでは、化石燃料からバイオマスへの燃料転換やバイオマスを燃料とするボイラー・ストーブの導入等、木質バイオマスを利用するプロジェクトを対象に、排出削減量の認証やクレジット発行がおこなわれ、2010年末時点で、国内クレジットで約3.5万CO2トン、J-VERでは約7千CO2トンのクレジットが認証されています。

 

国内クレジットの認証を受けた例として、青森県の津軽ペレット協同組合は、石油ストーブの代わりに地元産のペレットを使うペレットストーブを導入することにより、1世帯あたり1トンのCO2排出削減を目指し、獲得されるクレジットは東京都の企業と取引。取引による収入は、地元の森林整備に活用の予定といいます。

木質バイオマスの発生量と利用の現況(推計)

木質バイオマスは、発生形態によって「未利用間伐材等」「工場残材」「建設発生木材」の3つに分類されます。「工場残材」は、自工場内における木材乾燥用ボイラー等の燃料や製紙原料として大部分が利用されています。「建設発生木材」は、建設リサイクル法によって利用が進み、最近では木質バイオマス発電用の燃料として急速に需要が高まっています。

一方、「未利用間伐材等」は、毎年約2000万立方メートル発生し資源としての利用可能性がありながら、収集・運搬コストがかかることから多くは搬出されず林内に放置されています。木質バイオマスのエネルギー利用をさらに進めるためには、これらの未利用間伐材等の活用を早急に進めなければなりません。運搬のための路網の整備、森林施業の集約化、集積・輸送コストの削減、高性能機械の導入によるチップ製造コストの削減などにより、低コストで安定供給体制を確立することが重要。そして、「再生可能エネルギーの全量買取制度」導入によって、未利用間伐材等の活用がさらに進む可能性もあるようです。

石炭火力発電所の未利用間伐材等受入れ施設/
愛媛県

石炭火力発電所の未利用間伐材等受入れ施設/愛媛県(※4)

新たな木質バイオマス燃料として、バイオエタノールの製造技術の開発や技術実証が行われているほか、液化燃料(バイオオイル)やガス化燃料、粉末燃料(木質パウダー)等の開発も進んでいます。

また、一般の消費者が木質バイオマス燃料を利用しようとする際、ガスや電気の利用と同じように一つの窓口で全ての手続きができるようなサービスの充実が重要であるとも書かれており、私たちの暮らしと木質バイオマス燃料との距離が近づくことに期待がかかります。

 

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写真協力

(※1) 林野庁ホームページより
(※2) 林野庁:こうやって作る木の学校~木材利用の進め方のポイント、工夫事例~
(※3) Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Hirorinmasa
(※4) 林野庁:森林・林業白書より
 

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