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森を嗜むスローライフ:森から生まれた和紙のはなし

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森を嗜むスローライフ

森を嗜むスローライフ 森から生まれた和紙のはなし

和紙も森の恵みのひとつ

習字の半紙、神社仏閣のお札、扇子、和室の障子や襖などで目にすることの多い「和紙」。さらに身近なところでは、日本の「紙幣」にも使われています。和紙と呼ばれるようになったのは明治時代。西洋から入ってきたパルプ原料の「洋紙」に対し「和紙」という名前がつきました。

しなやかで強く、温かみと独特の質感が魅力の和紙ですが、その原材料となるのはどんな植物でしょうか。主として、コウゾ(楮)、ミツマタ(三椏)、ガンピ(雁皮)が多く用いられています。日本三大和紙とされる岐阜県の美濃和紙、高知県の土佐和紙、福井県の越前和紙もこれら3つが主原料となっています。

和紙の主な原料となる樹木

コウゾ(楮) ミツマタ(三椏) ガンピ(雁皮)

樹皮の内側にある繊維を取り出して、これらの強い繊維を清涼な水に浸し、漉き流したものを乾燥させて作られます。

他にも原料となる植物には、アサ(麻)、カジノキ(梶)、マユミ(檀)などがあり、古来それぞれの地域で採れる材を用いて、風土に合わせた紙漉きが行われてきたようです。

また、材料となる繊維を均一に分散させるための添加剤「ネリ」(粘り成分)として、トロロアオイが用いられるのも手漉き和紙の伝統の一つです。

最も多く使われているコウゾ。繊維が太くて長いのが特徴。

最も多く使われているコウゾ。繊維が太くて長いのが特徴。

 

1400年を超える和紙の歴史

和紙づくりの起源には諸説あります。中国で生まれた製紙技術が仏教伝来とともに百済から610年に伝来したとの説もあれば、6世紀初頭に現在の福井県で紙漉きが始まったとの伝承もあります。いずれにしても、本格的に和紙がつくられるようになったのは写経の需要が拡大した7世紀半ば頃から。平安時代には王朝文化の発展とともに、紙漉きはしなやかで強靭な紙をつくる技術へと飛躍的に進化しました。

鎌倉時代になると、武家を中心に厚くて実用的で丈夫な紙が求められ、室町時代には和紙の生産・流通を扱う「紙座」が形成されました。それでもまだまだ和紙は貴重品でした。

一気に普及したのは江戸時代。浮世絵、錦絵、黄表紙などを印刷する紙として庶民に普及。また、各藩の財政を潤すために、比較的参入しやすい手工業として、冬の農閑期にもできる作業としても、紙漉きが全国に広がったと見られています。

『紙漉重宝記』抜粋1 『紙漉重宝記』抜粋2 『紙漉重宝記』抜粋3
『紙漉重宝記』抜粋4 『紙漉重宝記』抜粋5 『紙漉重宝記』抜粋6

『紙漉重宝記』より抜粋

意外なことに、お江戸の真ん中である浅草や小石川、三田、市ヶ谷辺りでも紙漉きが行われていました。中でも浅草では、一度使った和紙を再生した「浅草紙」がつくられていました。

屑紙を回収し漉き返しをした安価な浅草紙(右 : 透過光で撮影) 「紙の博物館」所蔵

屑紙を回収し漉き返しをした安価な浅草紙(右 : 透過光で撮影)
「紙の博物館」所蔵

漉き返して再生した「魂が還る紙」

浅草紙は、使い古した大黒帳や鼻紙などの屑紙を回収し、それを水につけて再度「漉き返し」をしたもの。その使い道は鼻紙や落とし紙トイレットペーパー)などの生活用品でした。

漉き返しの工程には、回収した和紙をちぎって水の中に漬ける作業があります。これを「冷やかし」と言い、漬け終わってから24時間は放置します。この「冷やかし」にはこんなエピソードも。

「冷やかし」の間、手の空いた職人たちは浅草の裏手にある吉原へ遊びに行った。が、色街で豪遊するほど懐が温かいわけでもなく、花魁(おいらん)たちをただ眺めるだけで過ごしていた。その様子を見て街の人々は、「また冷やかしが来やがった」と言った。それが、商品を買わずに店を眺めるだけの「冷やかし」という言葉の語源になったと言われています。

「ひやかし鯰」(『江戸大地震之絵図』より)

「ひやかし鯰」(『江戸大地震之絵図』より)

 

浅草紙のように再生された「漉返紙」には多くの呼び名がありました。たとえば、元の紙に付着していた墨などが残って全体的に鼠色っぽい紙になることから「薄墨紙」、旧・久の意味を持つ「宿」や、古の意味を持つ「熟」を冠して「宿紙(しゅくがみ)」「熟紙(じゅくし)」。また、故人が生前に書いた手紙を漉き直し、その紙に写経をして供養する風習があったことから、「還魂紙(かんこんし)」とも呼ばれました。魂が還る紙とは、まさに循環再生の心を表す呼び名ですね。

もっと和紙を楽しもう

現在では手漉き和紙の生産者は減少し、後継者不足も問題となっていますが、伝統を次世代に受け継ごうとがんばる手漉き和紙職人さんも全国各地にいます。また、世界の美術館の作品修復に和紙が重宝されたり、 2014年には日本の手漉き和紙の技術がユネスコ無形文化遺産に登録(原料にコウゾのみを使用する埼玉県の細川紙、岐阜県の本美濃紙、島根県の石州半紙)されるなど、明るい話題も。

名刺やカード、御朱印帳、ラッピング用紙、ランプシェード、食器、和紙のバッグやさまざまな小物、和風モダンな空間演出に・・・和紙の魅力を再発見し楽しめる、オリジナリティのある製品が次々と生み出されています。また、手漉き和紙づくりのワークショップなども開催されているので、参加してみるのも良いかもしれません。

手漉き和紙 和紙のランプシェード

もっと詳しく知りたい方へおすすめ!

紙の博物館|紙専門の総合博物館 外観

紙の博物館

紙の博物館は、古今東西の紙の歴史・文化など紙に関する資料を幅広く収集し、保存・展示する世界有数の紙専門博物館です。1950年に「洋紙発祥の地」である東京都北区王子に設立されましたが、首都高速建設に伴い、1998年に現在の飛鳥山公園内へ移転しました。現在は、製紙関連の会社を中心に数多くの維持会員会社の協力により運営されています。

紙の博物館|紙専門の総合博物館

 
 

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