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林ヲ営ム: 木の価値を高める技術と経営

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林ヲ営ム: 木の価値を高める技術と経営

著者:赤堀 楠雄
出版社:農山漁村文化協会
価格:2,160円(税込)

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林ヲ営ム: 木の価値を高める技術と経営
 

林業とは木を「育て続けられる」ようにする仕事

街の人にとって、林業は「木を伐る仕事」というイメージがありますが、林業は途絶えること無く「木を育て続けられるようにする」仕事なのだ、と著者の赤堀さんは書いています。どこにどんな木をどんな間隔で植え、どう育て、いつ伐採するか、自然を読み、木材を研究し、身体全部の感覚と培った技術をもって、日々の作業を決断する。現金化するまでに数十年はかかる樹木を相手に、今を生きる生活を支えながら、次の世代へつなぐ算段もして、良い「山を仕立て」ていく、気の遠くなるような仕事です。

林業白書などを読むと、一時期は20%にも落ち込んだ木材自給率はここ数年にわたり回復傾向にあることが分かります。輸入木材が減少傾向にあるのは歓迎すべきことですが、今、需要が伸びているのが、集成材や合板、木質バイオマス燃料だということは気になる点です。小さく細かく薄くしてから貼り合わせた材料の需要が伸びていて、50~60年あるいは100年以上もかけて大切に育てた美しい無垢材の需要は伸びていない。
ニーズに応えて集成材や合板向けに安定した品質の木材を生産していくことは当然必要だとした上で、林業を活性化するためには、無垢材の需要拡大が大事だと赤堀さんは言います。

なぜか。集成材や合板などは加工コストが高くなってしまうので、市場の要請に応える木材製品を生産するためには、原料である丸太の値段を下げようとする力がはたらきます。そうすると、山主が生計を立てるためには、より多くの立木を効率よく伐採しなければならず、育林より採取寄りの林業経営になってしまいかねない。林業が本来「木を育てる」仕事であるなら、林家にとって育林のモチベーションにつながる無垢材の需要は、林業が本当に元気になるために大事な要素なのです。

木の価値を高めるための、挑戦はつづく

さて、本来価値のあるはずの材が売れなくなった今の木材市場を相手に、林家たちはどう取り組んでいるのか。本書には時代の流れの中で奮闘する林家、山守など山側の当事者たちの事例が、たくさん紹介されています。
植林・育林戦略、歴史ある林業地・奈良県吉野の木を選び分ける技術、節のない材をつくる枝打ち名人の技、山づくりと経済性、現代林業に挑戦し続ける尾鷲の林業など、それぞれご本人たちの語り口もそのままに紹介されているので、ドキュメンタリーを見ているような臨場感があり、この本の魅力の一つとなっています。
また、第三章では、近年話題となった「自伐林家」の実相にも迫っていて、「儲け」について切り込んだ内容を追いながら、彼らの生き方を感じられる興味深い内容になっていました。

そして、もっとも重要な第4章では木材の価値を高めるマーケティングについての論考が展開されます。川下側の目線にも立って、どんな情報があれば「価値のある木材」として認識されるか、赤堀さんの提言がされています。もし家を建てる機会があるなら、国産材でリフォームをしたいなら、木を使って何か作りたいなら、奨められた木材に関する情報を要求してみませんか? 工務店や大工さん、材木屋さんから情報を引き出したい時に、この本を読んでいることが必ず役に立つことと思います。

林業ドキュメンタリーのようにも、木材業界解説のようにも読める

本書は、山に生きるカッコイイ人たちの話も、木材とはこのように生産され、そうやって流通するのか、という業界の解説も、川下に暮らす私たちのところにまで届くように、丁寧に編集されています。

それこそ林業のことは知らないけど「Wood Job!(原作:神去なあなあ日常)」は面白かった!というような人にも、興味深く楽しんで読んでいただけるのではないでしょうか。そして衰退したと言われて久しい日本の林業の未来に向けて、希望のもてる事例の紹介や提言がいくつもされていること、どうぞ読み逃し無く。

私の森.jp編集部オススメの一冊です。ぜひご一読ください。

(編集部:あかいけ)

<目次>
プロローグ――ある林家の営みから

第1章 木の価値を高めて林業を元気にする
1 林業は「ソート」を担えるか
2 良質材のマーケットを拡大する
3 「品質の安定供給」を目指す

第2章 価値の高い木を育てる
1 答えは山にある
2 究極のソート――吉野の形付け
  木の寿命まで育てる――岡橋清元さん(山主・奈良県吉野町)
  垢抜けた山をつくる――小久保昌巳さん(山守・奈良県川上村)
  育林は生活そのもの――民辻善博さん(山守・奈良県川上村)
3 撫育一筋30余年――譲尾一志さん(兵庫県豊岡市)
4 挑戦し続ける林業経営――速水林業(三重県紀北町)
5 良い山づくりが良い人材を集める
6 丸太は商品――ポイントは造材

第3章 木を育て続ける――「自伐林家」という生き方
1 「自伐は儲かる」のか?
2 自伐林家の営み
  林業で食べ続けるための技術と経営――菊池俊一郎さん(愛媛県西予市)
  雪に強い優良大径材を次代に託す――八杉健治さん(福井県福井市)
  木材と花卉の複合経営で活路を開く――大江俊平さん・英樹さん(和歌山県田辺市)
  父祖から受け継いだ山を守る――奥山総一郎さん(岡山県真庭市)
  「晩生の木」を育て続ける――栗屋克範さん(熊本県山都町)

第4章 木の価値を高める木材マーケティング
1 製材品はなぜ売れないのか
2 ユーザーアクセスのあり方を考える
3 木材のスタンダードを機能させる
4 良質な無垢材利用へのインセンティブを高める
5 木材業界の人材を育成する

エピローグ――じいちゃんの山仕事

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