林業版『坊っちゃん』とでも言うような面白さです。
高校を出たら適当にフリーターで食って行こうと思っていた横浜の18歳男子「俺」が、まわりに勝手に就職先を決められて、いきなり林業の現場に放り込まれる……という乱暴な導入部から始まるお話。林業版『坊っちゃん』とでも言おうか、三重県中西部の神去(かむさり)村でのリアルなようなドタバタ劇のような日々を描いていて痛快だ。何しろキャラの立った登場人物がどんどん出てきて大暴れするので、笑えるし、引き込まれるし、ほろりともさせてもらえる(個人的には四章で2回もぐっときた!)。
林業についてど素人の「俺」目線で解説してくれるので、知らず知らず森の仕事に詳しくなってしまう。作者の田舎がモデルになっていて、尾鷲や松坂に足を運んで取材したというだけあって山の仕事に関する臨場感も満点。ちなみに作者のおじいさんは小説に出てくるキャラに負けず劣らず豪快なキャラだったとか。ポップな感覚ですいすい読めるコミカルな作品なので、森林や林業への興味や知識がなくても楽しく読めるし、読み終わると森好きさんになっていること間違いなし! 読んで気に入ったら、ぜひ身の回りの友だちにすすめたりプレゼントしたりしてみてください。
(編集部:たかしな)