森と人、人と人とのつながりに、希望がわいてくる本。
「森の空気を吸っとると、森が何を訴えとるかわかってくるんですよ。今、森に対して言うてやりたい事は、『もう少し頑張りや。』それだけですね。」こういう言葉も、スギの種採り50年の名人のクチから出るとガツンと説得力がある。
森で生きる名人達に、その知恵や技を聞き書きするプロジェクト「森の聞き書き甲子園」。ことばを交わす中で、ことばの背景にあるお互いの生き様が出会い、その出会いを通じて今までとは違う「新たなモノサシ」を手にした高校生たちが、新たな進路を見いだし、環境保全活動を始めたり、森を守るネットワークを自ら立ち上げ広げていく……。一方、森の名人たちも、自分が教えて以上のことを「もらった」と目を輝かす。
そんな人と人とのまっすぐで深い出会いが、森というかけがえのない場から生まれ、つながりが広がっていく様子が、レポートや対談、名人からのメッセージを通じて力強く伝わってくる。読んでいる内に、森が好きになり、人が好きになり、「うん、きっと大丈夫!」と希望のようなものが湧いてきた。
(編集部:おおわだ)