今こそ読んで応援したい!気仙沼の海と森
著者は、気仙沼湾でカキの養殖業を営むと同時に、海につながる森づくりや環境教育に取り組むNPO法人「海は森の恋人」の代表 畠山重篤氏。豊かな海を育むためには広葉樹の森が必要だと気付いて上流の森に植樹を始めたのが、1989年。以来、毎年植樹祭では漁師たちが大漁旗をはためかせて室根山に広葉樹の苗を植え、やがて小学生らも参加するようになり、これまでに約3万本の落葉広葉樹の植樹が行われたそうです。
この本では、畠山氏自身の子ども時代の豊かな海の記憶から、3代にわたるカキ養殖業の話、フランスやスペインへの視察、森づくりを決意したきっかけ、海と森をつなげる「鉄の秘密」など、2000年までの活動が小中学生にもわかるように語られています。 また、カナヨ・スギヤマさんのイラストは細かい描写とともに、どこかユーモラスで楽しく、あれこれ見るうちに海と森の生きものたちの多様な在り方に引き込まれます。親子で一緒に見たり読んだりするのも楽しそうです。
3.11東日本大震災の津波によって、森は海の恋人運動の起点でもある畠山さんのカキ養殖場は、船も養殖施設も事務所もすべて流失され、壊滅的な被害にあわれました。森作りなど環境保全活動によって豊かさを取り戻しつつあった美しい海も、子ども達の笑顔あふれた環境教育フィールドも、跡形もなく姿を消してしまったそうです。
それでも、今年2011年6月5日には植樹祭を決行、約1000本の植樹を行う予定だと発表されています。豊かな森があればきっと海は取り戻せる。そう信じて、私たちも応援していきたいと思っています。
(編集部:おおわだ)