OCICA 〜石巻 牡鹿半島 小さな漁村の物語〜
著者:一般社団法人つむぎや
編集:眞鍋知子、田村知子
装丁:NOSIGNER
(販売終了)
震災後の牡鹿半島に生まれた、鹿角と漁網糸で作られた美しいアクセサリー
本書は、震災後、石巻 牡鹿半島に生まれた、鹿角と漁網糸で作る美しいアクセサリー「OCICA」のことをまとめたものです。震災で当面の仕事を失くした漁家のおかあさんたちと、地域の埋もれた素材と技術に、洗練されたデザインが加わり誕生した「OCICA」。つながりを丁寧に結び直して生まれたプロジェクトだから、そこに生まれた共感がさざなみのように連鎖していく。その姿が、淡々と丁寧に書き記されている、本当にうつくしくてきもちよい、本です。
OCICAの魅力は、その見た目の美しさ以上に、その1つが「私」に届けられるまでの、すべての関わりが愛おしく思える、というところにあります。
プロジェクトを主宰する「つむぎや」代表の友廣さんは、この本の中で
"「OCICA」って誰がやってるの?と聞かれると一瞬こたえにつまる"
"それぞれができることを差し出し合いながら、気がつくとお互いの役割が重なり合ったところに一つのプロジェクトが育まれてきたような感覚がある"
と書いています。その感覚が、どのようにしてだか、わからないけれど、買い手にも届くということが、じんわりと嬉しいのです。そして、この「じんわり」をもっと遠くに届けたくて、友達にもプレゼントしたくなる、不思議な力を持った「OCICA」です。
さて、牡鹿半島は、その名の通りもともと鹿が多い地域。加えて近年は「増えすぎ」たために、農林業被害や交通事故が問題となり、捕殺処分される個体数が増えました。日本各地で問題となっていることですが、だから鹿の角は誰にも使われずに余っていた、いわば廃棄物でした。私の森.jp編集部としては、鹿資源が大切に活用されている、というところも嬉しい。
古来から神様の使いとされてきた鹿、鹿の角には魔除けの力があるといいます。こんなに大切に扱われて、私たちのところに届けられるのなら、きっと身に付ける人を守ってくれるはず。
アクセサリーも、本も、オススメです!
(編集部:あかいけ)