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幻のDIY本『家庭の工作』から 杉でつくる家具

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幻のDIY本『家庭の工作』から
杉でつくる家具

編者:グループ モノ・モノ
出版:グラフィック社
価格:2,500円+税

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幻のDIY本『家庭の工作』から 杉でつくる家具
 

モノづくりとはー杉を使って自分で作って考える本

本書は、1953年にKAKデザイングループ(秋岡芳夫率いる工業デザイン事務所)が手がけた『アイディアを生かした家庭の工作』をもとに、新しく現代の暮らしに向けて編み起こされたもの。若きデザイナーや編集者たちの手によって、原著から機能美あふれる木製家具が24点が選ばれ、丁寧な解説とともに、国産の杉を活かしてつくろうと呼びかけています。

ページをめくれば、目に入るどの家具もモダンで、洗練された機能的なデザインが美しい! 親切でおおらか、少し昭和な雰囲気を添えたレイアウトも心地良いし、何よりそれぞれの家具の構造が視覚的に理解できそうなのが楽しくて、きっと誰でもすぐに「作ってみたい」という気になるはず。



ところがさっそく作り方を読み始めると、これが意外と難しそう(周囲でも同じような声が)! 使ったことのない道具が登場し、ノコギリが上手く使えなければ切れそうにない角度のパーツが目に止まり・・・そう、1953年の日曜大工に比べて、私たちの標準的な工作知識や技術は、こんなにも劣化しているのだということを思い知るのです。デザインは陳腐化することなく、素晴らしいままなのに。そういえば、子供の頃見た父の道具箱には、ノミも玄翁(げんのう)も鉋 (かんな)も入っていました。特別大工仕事が上手なわけでもなかったので、その頃のお父さんの「標準装備」だったのじゃないかと思います。

「人間の物づくり」とは

KAKデザイングループの中心的な存在であった秋岡氏は、高度成長期の日本にあって、工業デザイナーでありながら、大量生産・大量消費社会に疑問を投げかけ続けたひとです。「暮らしのためのデザイン」の実践を軸に多彩な活動を展開し、工業化によって生産者と消費者との分断化を進めるデザイン産業のあり様を問い続けました。各地の伝統工芸や手仕事の継承に力を注ぐ一方で、「消費者から愛用者」になって、気に入ったものを長く使おうと呼びかけたりもしています。

目黒区美術館編『秋岡芳夫ーモノへの思想と関係のデザイン』

目黒区美術館編 『秋岡芳夫ーモノへの思想と関係のデザイン』 より


そんな秋岡氏が、著書のなかでたびたび語っている <人間の物づくり>の原型とは 。

「自分の生活に必要なものは、自分で工夫して自分の手で作る。これが人間の物づくりの原型だと、私は信じています。〜(中略)〜ひるがえって、現代の物づくりの事を少し考えてみましょう。現代の専門化した生産機構の中では、考える人・作る人・売る人・買う人が全く別の人なのです。あなたは、他人の考えてくれたもの、他人が作ってくれたものを買ってきてただ使うだけなのです。私は、デザイナーと言う名の、ただ考えるだけの人間なのです。自分の考えたものは他人につくってもらい、他人に売ってもらっているのです。」(p25 いまなぜ『家庭の工作』かというコラムで紹介)

「自分のほしい物は自分でよく考え 自分で作り 要すれば自分の道具をよく工夫し 心を込めてつかって見て 気に入らぬところをまたよく考えて直し 納得の行くまで作り直し それを愛用する・・・それが人間の物づくりの原型!」(p183 おわりに の中で引用されている)

<人間の・物づくり>という表現。そしてそれに続く原型という言葉。そこには本来人間がもつ創造性への信頼があり、それはあたりまえの人間のふるまいでもあるよ、と言われたような気がしました。

暮らしを工夫することは、生きる希望になる

<人間の・物づくり>の原型というテキストから、もう一つ連想する言葉があります。「人は明日何か工夫しようと思うことがあれば、日々の生きる希望を紡いでゆくことができる」(細部はうろ覚えですが)105歳で亡くなった日野原医師が残した言葉です。 たとえば明日、災害にあって、住む家も仕事も大切な人も亡くしたら、絶望の先にあるのは、暮らしを工夫することだけなのじゃないか、と想像します。身の回りのことを自分のチカラで「良くする工夫」は、生きていることの実感に直結する行為なのじゃないか、と思うのです。

最初は道具を覚えることからはじめて(道具の説明も載っています)、ひとつでも本書に紹介されている家具の構造(たとえば真っ直ぐ自立する、重さを支えるなど)を理解して、自分でつくることができたら、いつか自分でもいろいろなものをデザインできるようになると思います。
また、杉はもっとも日本らしい木材のひとつで、軽くて加工がしやすく、手に入れやすい樹種です。柔らかくて傷が付きやすいので家具には適さない、という人もいますが、手に馴染むその柔らかさも、ほっとするような、甘い香りも魅力です。スギ材で使ったモノづくりを楽しんでください。

眺めるだけでもわくわくする楽しい本なので、インテリアが好きという方、DIYが好きな方、杉が好き、という方へのプレゼントにもおすすめです。

(編集部:あかいけ)

朗報!「杉でつくる家具」には公式サイトがあります

難しくて作れないかも? 諦めることはありません。
グループ モノ・モノでは、「杉でつくる家具」公式サイトをオープンして、ワークショップやイベントの情報を発信しています。また、学校やショップなどでワークショップを開催したい方も相談できるようなので、ぜひサイトをのぞいてみてください。
http://www.sugi-diy.com/

「杉でつくる家具」公式サイト
 

日本のDIYを世界に発信!
デザイントークスプラス「DIY」でも紹介されています。
DIY - DESIGN TALKS plus _ NHK WORLD-JAPAN

<目次>

  • 家具だけにとどまらない、とてもユニークな『アイディアを生かした家庭の工作』(降旗千賀子・目黒区美術館学芸員)
  • KAKデザイングループについて (臼井新太郎・ブックデデザイナー)
  • いまなぜ『家庭の工作』か (伊藤暁・建築家)
  • 『杉でつくる家具』から考える、これからの暮らし (若杉浩一・プロダクトデザイナー)
  • 本書で使用する工具/塗料・材料について/工具の使い方/用語解説/構造解説

◎1章 椅子
筋交いが効いた2WAYスツール/挟み脚の丈夫なスツール/V字脚の背もたれ付き小椅子/
三角構造のガーデンチェア/組み接ぎで作る箱型ベンチ/離乳食に便利な挟み脚のベビーチェア/
V字脚のガーデンベンチ/薄い杉板だけで作る丈夫な縁台/V字脚のアームチェア/
ベニヤ板で補強したローチェア

◎2章 テーブル
ベニヤ板で作る挟み脚のちゃぶ台/挟み脚のサイドテーブル/V字脚のガーデンテーブル/
ベニヤ板を使ったV字脚のティテーブル/ベニヤ板を上手に使った本棚兼テーブル/
厚い杉板で作る引き出し付きの文机/挟み脚のスリムなダイニングテーブル/
軽くて美しいV字脚の作業馬/高さを3段階に変えられるテーブル

◎3章 収納家具
しっかりと積み重ねられる本棚/麻ヒモを張った軽快な飾り棚/スリムなコレクション収納箱/
すっきりと収納できる傘立て/通気性のよいシューズラック

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