3.アカデミー卒業生の進路・キャリアパスは?
エンジニア科とクリエーター科は、それぞれ卒業後の進路は違います。エンジニア科では、林業・木材産業の現場の即戦力となる人材を育成します。一方、クリエーター科には森林利活用分野、木材利用分野の2つの分野があり、前者は森林経営や森林環境教育の専門家を、後者は木造建築、木工など、木材利用の専門家を育成します。実際に卒業生がどんな道に進んでいるか紹介しましょう。
卒業生の進路として、林業会社や森林組合などの林業関係、製材に携わる木材関係、土木や公園管理事務所などの森林・造園関係、建築設計事務所などの建築・建設・木工関係、県庁や森林管理局などの官公庁への就職や、さらに大学に編入するなどの実績があります。
アカデミーのウェブサイトには「卒業生インタビュー」が掲載されています。林野庁の森林管理局森林管理署で働く公務員、林業会社に森林技術者として就職し林業全般に携わる人、森林組合の現場技術者、木材会社で製材工として腕を磨く人など、具体的な事例を見ることができます。
【参考】
(1)森林利活用分野
クリエーター科のうち「森林利用活用分野」の卒業生は、林業会社や森林組合などの林業関係、学校やNPO法人などの環境教育・自然学校関係、NPO法人など地域活動関係、企業や研究所などコンサルティング関係、森林管理局や自治体などの官公庁への就職や、大学の研究所や大学院などへの進学の実績があります。
「卒業生インタビュー」の中で目を引くのは、グリーンウッドワーク(生木を使った木工)を伝えるNPOの代表や、林業用生産管理システムを開発する会社の代表のような独自の道を進む人も、森林組合や木材会社でやりたいことを追求する人もいる進路の幅広さです。
【参考】
(2)木材利用分野
一方、クリエーター科「木材利用分野」の卒業生の進路としては、家づくりのコーディネートやバイオマスエネルギーなどをテーマとした木材関係、建築事務所や建設会社・工務店など木造建築関係、木工所や工房などの木工関係、ワークショップや支援活動を行う木育関係、公立校の教員などの官公庁への就職や、大学院への進学の実績があります。
「卒業生インタビュー」には、木造建築や木質構造を専門とする会社の代表もいれば、和傘や下駄の職人を目指す人、工務店に勤務し地域密着型・完結型林業を追求する人など実に多彩です。
【参考】
卒業生の進路について、わらび粉に夢中だったある学生の印象的なエピソードがあります。もともとわらび餅が好きで、関東での大学・社会人時代を通じてわらび粉を研究するうち、岐阜県飛騨市のわらび粉が最高品質で、後継者がいなくて途絶えかけていると知って一念発起。仕事をやめて林業技術を学ぶためにアカデミーに入学し、在学中もわらび生産と販路や起業に関する研究を行い、卒業後は予定通り飛騨市に移住してビジネスとしての成功を目指しているというのです。
取材で出会ったクリエーター科の学生にも卒業後について聞きました。グリーンウッドワークを修得して地元に帰って観光客向けの木工体験で起業を考える人、岐阜県で古民家を再生し、癒しを求める都会の人を受け入れるゲストハウスを企画する人、子どもを対象とした木育に関わろうとする人、過疎化の進む地元の活性化のために何ができるか考える人など、目標は多種多様です。在学中にはビジネスモデルや資金計画などを提出し、教員と実現の可能性についてディスカッションを重ねながら、進路を決めていくということです。
私の森.jp編集部と生徒のみなさん
4.見学、学園祭から学内宿泊まで!──アカデミーをもっと知る方法
岐阜県立森林文化アカデミーに入学してみたい、あるいは、興味が湧いてきたので、ちょっと覗いてみたいと思う人は、以下を参考にしてください。
入学したい人に
2016年度を例にとると、エンジニア科には推薦入試と、4回の一般入試の計5回実施されます。一方、クリエーター科は5回の一般入試が実施されます。いずれも最初の2回の入試でほぼ定員近くまで募集し、残る3回は若干名の募集となっており、定員に達した場合第4回、第5回の実施はなくなります。
また、エンジニア科、クリエーター科ともに「後継者枠」という選考枠があり、卒業後に後継者として従事する強い決意を持ち、推薦を受ける人を受け入れる点がユニークです。後継者不足の世界に対して、人材を育て、送り込もうとするアカデミーの意志を感じます。詳細は公式サイトの入試概要をご確認ください。
【参考】
体験したい人に
●森と木のオープンカレッジ
気楽に参加できる日帰りイベントから、指導スキルを磨ける本格コースまで、森林文化の総合的な教育拠点をめざしています。「森のようちえん」、「週末プレーパーク」のような参加型イベント、木育やグリーンウッドワークの「指導者養成講座」や「里山景観マイスター養成講座」、里山ビジネスについて語り合う「里山in-Qシリーズ」など幅広いテーマで展開しています。興味のあるテーマを選んで参加できます。
見学したい人に
●学園祭「翔楓祭」
11月の「翔楓祭」は、森林文化アカデミーの学生が主催する学園祭です。教職員からの学校説明に加え、学びの成果の展示や、体験型のイベントなど、盛りだくさんでアカデミーの雰囲気を感じ取ることができます。
●オープンキャンパス(要申込)
入学に関心を持ったら、お勧めなのがオープンキャンパス。毎年7、8月と、11月の(翔楓祭と同時開催)に学校説明会を行っています。入学を検討している人を対象にした学校説明、施設見学、教員とのフリートークや、事務職員による何でも相談があります。
●エブリデイ・オープンキャンパス(完全予約制)
土日のオープンキャンパスに都合がつかない人のために、平日に相談会を行っています(学校概要説明、教員との面談相談会、施設の見学など)。ただし、平日は授業等があり、先生との調整ができない場合もあるとのこと。完全予約制なので、必ず事前に連絡を取ってください。
●随時見学
また、随時見学を受け付けているそうです。アカデミー事務局に直接問い合わせてみましょう。
●宿泊見学
翔楓祭に合わせて、遠方からも参加しやすいよう、アカデミー内のコテージ(宿泊施設)に泊まって2日間ゆっくり見学・相談できるようにしています。リンク先は2016年11月12・13日の実施例です。
教員や学生と交流したい人に
●森と木の仕事セミナー
森林文化アカデミーの教員たちによるセミナーで、東京と岐阜の会場で毎年2回ずつ開催しています。林業、森林環境教育、木造建築、木工の各分野について、課題や取り組み、就業へのルート、就職・転職にあたって何を学ぶ必要があるかなどを解説します。
資料を手にいれる
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