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植物の生存戦略〜「じっとしているという知恵」に学ぶ

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植物の生存戦略〜「じっとしているという知恵」に学ぶ

編者:「植物の軸と情報」特定領域研究班
出版:朝日新聞社
(中古品で購入可)

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植物の生存戦略〜「じっとしているという知恵」に学ぶ
 

何億年も生き抜いてきたヒトの大先輩に教わろう!

生ナシ、イチゴ、ジャガイモ、サツマイモなど、多くの果物や野菜の品種はみんなクローンだということ、考えたことありますか?あるいは葉っぱの形がどのようにして決まるのかや、バラエティに富んだ突然変異をする花の形づくりの原理について考えたことがありますか?

植物と動物はどこが違うのか。ついに捉えることに成功した受精のメカニズム。植物の隠れた半分である根や、その根と菌根菌の共生の営み......。言われなければ考えてもみなかったようなテーマについて、「へー!」と感心するような研究や発見があり、それぞれの第一人者の専門家が解説してくれます。

本の冒頭に植物を「動くことにエネルギーを使わず、太陽のエネルギーを変換して最小限のエネルギーを有効利用しながら、地球上で何億年もの時を生き抜き繁栄してきた、ヒトの大先輩」と書いています。人間はついついヒトを最も進化した生物のように思いがちですが、この本を読めばそれがとんだ思い違いだということがよくわかります。

例えば、人間が大気中から窒素固定を人工的に行うためには高温高圧の環境を作り、よい触媒を用意しなければなりません。植物は根粒菌を使って静かにこれを行います。地球上の窒素の収支を見ると、根粒菌などの生物によって固定される窒素の量の方が、工業的に固定される窒素の量より多いという推計もあるそうです。人間が大変なエネルギーと設備を要することを何億年も前から植物は静かに淡々と実行してきたわけです。

ただしこの本は2007年の出版で、入手困難な本ですし、10年以上を経て、研究はさらに進み、ここに記された内容はアップデートの必要があるしれません。けれども、読めばわかるように恐らくいまなお新鮮な驚きに満ちています。植物の生存戦略の最新事情について興味をかきたてる入門編としておすすめします。

(編集部:たかしな)

※BSI 生物科学研究所「窒素の生物固定と化学固定」によると、“生物的窒素固定によるアンモニアの固定量が年間約 1.8 億トンに達し、化学工業でのアンモニア年間生産量(2010 年)の1.6 億トンより多いと言われる。”とのことです。本書には“3:2の割合で多い”と記載されています。
File No. 40 窒素の生物固定と化学固定

<目次>
口絵

はじめに 福田裕穂

1章 植物と動物 どこが違うのか   田坂昌生
   どちらも成功した植物と動物の「生存戦略」
   植物の体を構成する3つの器官
   植物は細胞を積み重ねる
   一生つづく植物の発生
   体細胞の変異が子孫に引き継がれる
   生きることは新しい器官をつくりだすこと

2章 葉の形を決めるもの   塚谷裕一
   環境が決める葉の形
   シロイヌナズナを使った研究
   葉の形をつくる4つの遺伝子
   細胞の数が減ると細胞が大きくなる
   エボ・デボ研究が明らかにする進化の仕組み

3章 花を咲かせる仕組み 「花成ホルモン」フロリゲンの探索   荒木崇
   フロリゲン探索の歴史
   遺伝子がわかっても生命はわからない?
   フロリゲンを見つけた!?
   フロリゲンはシステムの一部である

4章 遺伝子の働きによる花の形づくり   平野博之
   花の形づくりの研究
   花の発生のABCモデル
   ABCモデルにかかわる遺伝子
   イネの花のつくり
   イネの雄しべと雌しべの発生の仕組み
   ホメオティックな変化の起きる理由
   イネのCクラス遺伝子の働き
   花の進化発生研究への期待

5章 受精のメカニズムをとらえた!   東山哲也
   重複受精の仕組み
   トレニアという植物
   花粉管ガイダンスをとらえた!
   受精の瞬間に起こること
   花粉管ガイダンスの仕組み
   誘因物質の由来と正体
   「愛の神」をつかまえる

6章 根 植物の隠れた半分   深城英弘
   いろいろな根
   根の構造
   根は重力を感じている!
   「寂しい根」

7章 根における共生のいとなみ   川口正代司
   古くから知られてきたマメ科植物と根粒菌の共生
   シグナル物質を介した相互作用
   根粒菌の数を制御する仕組み
   植物の全身で情報伝達する遺伝子
   多くの植物と共生する菌根菌
   菌根菌がつくる地下ネットワーク

8章 4億年の歴史をもつ維管束   福田裕穂
   維管束の形
   植物の「血管」と「心臓」
   細胞が管になるまで
   2つで一人前の師管細胞
   バラバラにした細胞が道管細胞に変わる
   1つの遺伝子がさまざまな細胞を道管細胞に変える
   互いにコミュニケーションを取る細胞たち
   ペプチド研究の発展

9章 成長をつづけるためのしたたかな戦略 頂芽優勢   森仁志
   実は身近な植物ホルモン
   植物の一生のさまざまな場面に登場
   研究の先駆者の功罪
   新たな研究手法を手にして
   「ほんとうに起こっていること」をまず確認
   ストーリーをつなぐ役者が見つかった!
   植物の周到な準備に脱帽
   魅力的な研究対象

10章 「第2の緑の革命」に向けて   芦刈基行
   「結果優先」だった「緑の革命」
   イネの遺伝子を研究する理由
   イネの背丈を決める「ジベレリン」
   イネの背丈にかかわる遺伝子をとらえた!
   「戻し交配」でつくった「ほとんどコシヒカリ」
   交配技術と遺伝子組み換え技術

あとがき   塚谷裕一

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