根っこに注目すると、おなじみの木の別な顔が見えてくる
しかけ絵本というほどではないのだけれど、項目ごとの扉ページが上下に分かれている。扉ページには木のイラストがあり、根元は親子が(大きさの比較のため)たたずんでいる。「下をひらいてみよう」と促されるので開けてみると、土の下に広がる根っこがどーんと登場する。木の種類ごとに、根っこの姿も全然違う。面白い。
いろいろな大きな木の根っこに注目した上で、それぞれの樹種の解説が出てくる。日本の、身近な木を9種類とりあげ、それぞれのなかまたちを紹介するので、一気に木に詳しくなった気分になれる。楽しい。
身近な木の例を書きたいところだが、実は、この絵本は扉ページで「この木な〜んだ?」とクイズ形式で聞いているので、樹種を書くとネタバレになってしまう。目次の見出しも「海の風に強く海岸でよく見られる」「幹がまっすぐ生長する」といった具合に工夫している。心を鬼にしていくつかランダムに書いてしまうと、スギ、ケヤキ、クスノキといった具合。誰でも見たり聞いたりしたことがあるものばかり。
当たり前の話だけれど、どんなに身近な木でも、根っこをしげしげと眺める機会はまずない。だからこの絵本で根の形を眺めるだけで感心する。縦に深く進むものもあれば、浅く真横に広がるものもある。木の隠れた一面(文字通り隠れた一面)が明かされる。ワクワクする。
この絵本は、「根っこのえほん」というシリーズの一つ。「1 おいしい根っこ」にはじまって、「2 野菜の根っこ」、「3 フルーツの根っこ」、「4 水中にのびる根っこ」ときて5作目が「5 大きな木の根っこ」。ほかの絵本も手にとってみたくなった。
(編集部:たかしな)