森の偉大さが染みわたる、美しい写真と詩のような語り。
ページをめくった途端、そこはもう森の中。どこか知らない深い森へと引き込まれて、樹木の息吹きに耳を澄ましたり立ち止まって見上げたり。ひっそりと芽生えを待つ種や土の中の微生物、小動物たち……何かに出会うたびに、深い智恵と知識を詩のような言葉で語るガイドが説明をしてくれる。まるでそんな気分にひたりながら読み進むうち、今まで知らなかった様々な森の真実に気づかされます。「ある一本のブナの木が、その根にかかえていた土は、大型ダンプカーに10台分もあったという」「ひとつかみの森の土のなかには、1000億個もの土壌生物がいる」など、目に見えない土の中の物語も。
何より嬉しいのが美しい写真たち。森のさまざまな樹木はもちろんのこと、朝露をたたえた一枚の葉、小さな小さなキノコや木の実、そして、ヤマネ、エゾモモンガ、オコジョなどの愛くるしい小動物まで。よくぞこれだけ集めた!と感服してしまうぐらい、傑出した写真が次々に登場します。森の写真集でありガイドであり、叙情詩でもあるような、都会で森を想うすべての方におすすめしたい一冊です。
(編集部:おおわだ)