空想と現実の狭間・・・森には秘密と遊びがたくさん!
ページを開いて、まず最初に「羨ましいな」と思ったのは、主人公の“ぼく”が、森と寄り添う環境に暮らしていることでした。
“ぼく”は、家族や友だちと戯れるように、とても自然に森と遊びます。そして、森の奥深くに独りで入っていくというのに、そこには恐怖心や躊躇はひとつも無いようなのです。“ぼく”が森で出会うのは、ライオンや熊、うさぎなどの空想なのか現実なのか、とりとめもなく登場する、いろいろな動物たち。
けれども、彼らと“ぼく”が交わす会話には、共に生きる仲間への寛容と礼儀があり、ページとページの間にある情景を想像しながら、思わず大いなる自然の懐に抱かれる感覚を探してしまうのです。
モノトーンのイラストですが、繰り返し読むほどに、自分のイメージする森の色彩が浮かんでくるようです。もし、お子さんが自分色にこの本を塗ってしまっても、その時ばかりは怒らずにそっと見守ってほしい、そんな思いにさえさせてしまう不思議な魅力がたくさんつまった一冊です。
(スタッフ (も))