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ふきまんぶく

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ふきまんぶく

文と絵:田島 征三
出版社:偕成社
価格:1,760円

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ふきまんぶく
 

里山のにおいや土のぬくもりに包み込まれるようなお話

子供の頃、祖父とふきのとうを採りに、よく河原の土手へ出かけました。
ふきのとうは苦くて子供の私には苦手な食べ物でしたが、雪の間から顔を出して
いるふきのとうを見つけては、祖父に
「これはつぼみだから大丈夫。」
「こっちはもう花が咲いてるから美味しくない。」
と判定してもらうのがとても楽しかった事を覚えています。

「ふきまんぶく」は、山に群生する蕗(ふき)たちと山の麓の村で暮らす人間の女の子「ふきちゃん」との交流を描いたお話です。舞台となっている東京都西多摩郡日の出村では、まんじゅうの事を「まんぶく」と呼ぶ事から、ふっくらとまるくてまんじゅうのようなふきのとうを「ふきまんぶく」と呼んでいるそうです。

「ふきまんぶく」には、蕗の魅力が、美しい色彩でとても丁寧に描かれています。例えば、葉の縁に夜露を珠のように溜めてキラキラと輝く姿や、その露の珠を葉脈、葉柄を通して土へと流し込む様子(ロータス効果と呼ばれています)、さらには、成長したふきのとうがタンポポの綿毛のようになって、種子を飛ばす姿など、ふきのとうの「その後」をよく知らなかった私には大変興味深いものでした。
(恥ずかしならが「蕗」と「ふきのとう」は別の植物だと思っていました。)

作者、田島征三さんのどっしりとして力強い絵は、それぞれの場面が持つ"におい"を伝えてくれます。真夏の夜の蚊取り線香に、畑からわき上がる「むぅっ」と温かい土の匂い、道の途中の牛小屋や、うっそうと生い茂る蕗たちのむせ返るような青臭さなど、全てのページから、里山のにおいが漂ってきます。 大人になってもこの絵本に惹きつけられるのは、絵の温かさの他にも、都市部に生活する私たちが、忘れてしまったあのにおいを懐かしく思い出せるからかもしれません。

家事や仕事に疲れた時などには、ふとこの絵本を開いてみてください。 ふんわりした土のぬくもりや、鮮やかな黄緑色をしたふきまんぶくたちから元気を分けてもらえるかもしれませんよ。

(編集部:さいとう)

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