いま居る場所を「森」にしてくれる、野鳥のさえずり。
トラック3、目を閉じて聴く。やさしく澄んだ声で鳥たちがさえずり、じっと耳を傾けていると、早朝の森の清らかな空気や木々の息吹までリアルに感じられてくる。ウグイス、それから何の鳥か、わたしには聞き分けられないけれど(アカハラ、イカルと解説にはある)、野鳥たちの合唱を聴いているうちに、いろいろな朝、いろいろな森、が流れる雲のようにゆっくりと想い出される。深呼吸したくなるような静かで広々とした気分。ああ、いま、森に居る……。
そんな気分にひたれるこのCD。ライナーノートには「2014年4月27、28日に長野県戸隠での野鳥の声を合計4時間録音し、良いところを70分ほどにまとめました。」とあり、また、トラック1.2は夕方、トラック3は早朝5時から8時まで録音したなどの説明がされています。
視覚障害を抱えた森佑太さんが自ら森に入って録音し、自主製作・販売している「音いろいろシリーズ」の一作で、この「戸隠の森」の他に「日光の森」、「鳥ベスト」、最新作には「水辺の鳥」「水音」などもラインナップされています。
多種多様な環境音のCDが世に出ていますが、こんなにシンプルで気持ちのいい音は久しぶりに聴いた気がします。すーっと自然に森の空気が都会の空間に溶け込むような音。これは、森好きさんや野鳥愛好家はもちろん、どなたでも、一度聴いたらクセになりそうな心地良さです。日々の仕事のBGMにすれば集中力が高まりそうだし、リラクゼーションや瞑想にぴったり。その場所が森になります。
< 参考 >
音いろいろ(森佑太さんのサイト。いろいろな音が聞けます)
※サイトを開くとBGMが自動で流れます。音量にご注意ください。
(編集部:おおわだ)