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樹木葬という選択: 緑の埋葬で森になる

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樹木葬という選択: 緑の埋葬で森になる

著者:田中 淳夫
発行者:築地書館
価格:1,980円

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樹木葬という選択: 緑の埋葬で森になる
 

森林保全と「お墓問題」を解決する、新しい埋葬のかたちをガイド

終活ブームの中、子どもに継承の負担をかけたくない、無縁墓にしたくない、従来のお墓は嫌だなどの理由で、自分の意思で選べる様々な新しい埋葬法が登場しています。その一つが、遺骨を直接土に埋めて樹木を墓石の代わりにする樹木葬です。
森林ジャーナリストとして活躍する著者の田中淳夫さんは、自身の親のお墓をつくった時の“違和感”から、改めて樹木葬に注目し、日本で最初の樹木葬を始めた岩手県の知勝院をはじめとする全国各地の樹木葬墓地を10カ所以上徹底取材。さらに、海外5カ国の樹木葬事情も紹介しています。

ここで明らかにされているのは、一口に樹木葬と言ってもそのスタイルは千差万別であること。知勝院のように森林再生を前提として、埋葬した場所に植樹して森づくりに取り組む例があれば、既成の霊園内に石碑の代わりに草木を植える方法や、墓標の樹木をサクラに限る「桜葬」などもあります。また、韓国では近年、国が樹木葬を推奨している、フォレスター(森林官)が活躍するドイツでは森で選んだ木の根元に遺灰を埋葬し、埋葬の祭祀もフォレスターが担当するなど、お国柄も表れています。

こうした樹木葬事情を丁寧に紹介しつつ、締めは、著者が理想とする樹木葬と将来への提言。世界中で進む自然環境の保全を目指す埋葬法を「緑の埋葬」と呼び、日本の樹木葬も緑の埋葬であって欲しいとし、満たすべきポイントを列挙しています。その中には、場所の選び方や植栽する樹種へのこだわりなどもあり、日本の森に対する広い知見と深い愛情を持つ著者ならではの視点を感じます。

墓地の造成によって森を破壊するのではなく、埋葬して樹を植えることで森づくりにつながる。そして、自分が埋葬された場所は半永久的に森として保全され、遺族の心を癒やし、美しい自然を残す……。そんな樹木葬にたまらなく誘われてしまう一冊です。

(編集部:おおわだ)

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