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森学ベーシック:1.日本の森・世界の森:世界の森が減少する原因と対策

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森学ベーシック:1.日本の森・世界の森:世界の森が減少する原因と対策

世界の森林減少の原因とは

世界では、熱帯雨林をはじめとする貴重な森林が急速に失われています。人間が農耕を始める前の森林面積60〜70億haから今では約40億haにまで減少しました。減少率に注目すると、1990〜2000年は年平均0.18%、2010〜2015年では年平均0.08%と半減しており、近年、減少の速度はスピードダウンの傾向にはあるようです。

2010年〜2015年の5年間では、アフリカと南米では熱帯林の農地転用などにより年平均200万ha以上が減少。一方、アジアでは中国やオーストラリアなどの植林によって森林面積が増加しています。

世界の森林面積の変化 【地域別】【1990-2015年】

では、なぜ世界の森林は減り続けているのでしょうか?
森林減少の主な原因として、環境省は次の4つをあげています。

原因1:プランテーションへの転用

森林を伐採して、パームオイルのプランテーションなど大規模な農地に転用する。
FAOの「世界森林白書2016」では、熱帯林減少の約8割が農地への転用に起因すると報告されている。(※1)

アブラヤシ

原因2:伝統に則らない焼畑農業の増加

「森林を焼き払い、農地として利用した後、自然の回復力で森林に戻す」という 伝統的な焼畑農業ではなく、近年は、森林が回復しないうちに農地として利用して 土地を劣化させる焼畑が増えている。(※2)

焼畑

原因3:燃料用木材の採り過ぎ

途上国では生活に使う燃料を得るため森林を伐採するが、近年、 人口増加などのために採取量も増え、森林が回復せずに減少している。(※3)

燃料用木材

原因4:大規模な森林火災

気温上昇、干ばつ、落雷や火の不始末などさまざまな原因で火災が発生。 森林火災による年間のCO2放出量は62〜150トンにも及ぶ(IPCC第4次評価報告書より)。(※4)

森林火災

こうした森林の減少や劣化は、地球温暖化、生物多様性の損失、砂漠化の進行など、地球環境を深刻化させるおそれがあります。そのため各国は、関係国際機関やNGO等とも協力のもと、森林の整備・保全のための国際的な取り組みを進めています。

森林を守る国際的な取り組み

ガーナで活動するJICAボランティア

ガーナで活動するJICAボランティア(※5)

1992年、国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)で、「アジェンダ21(森林減少対策等)」が採択されて以来、ずっと森林に関する国際的な対話が続けられてきました。アジェンダ21に基づいて、森林経営が持続可能であるかを評価する基準や指標などが世界各地のグループごとに進められ、生物多様性、森林生態系、木材生産力、炭素蓄積などさまざまな基準が設けられています。

途上国の森林を守るための資金・技術協力や、国際機関を通じた支援も盛んに行われています。日本JICA(独立行政法人国際協力機構)を通じて、森林・林業の専門家の派遣や機材の供与、資金援助などを実施。また、NGOによる海外植林、砂漠化防止や熱帯林再生プロジェクトへの支援も行っています。

 

地域の森、コミュニティ・フォレストリー

持続可能な森林経営に取り組む国際機関の一つに、ITTO(International Tropical Timber Organization、国際熱帯木材機関)があります。熱帯木材の生産国(熱帯地方の開発途上国)と消費国(主に温帯地方の先進国)が互いに対等な関係を保ちながら、熱帯林資源の保全や持続的経営を行っていくことを促進する機関です。

その活動の一つに「コミュニティ・フォレストリー(地域住民の森)」の支援があります。コミュニティ・フォレストリーとは、地域住民が主体となって協同して行う森林管理の形態。そこから産出される木材は「顔の見える木材」として消費国に届きます。

キャッサバ

キャッサバの塊根(イモ)を加工センターへ運ぶ女性達。熱帯諸国で栽培されている落葉低木。(※6)

例えば、ガーナのNGOと先住民族コミュニティによる劣化した森林の復旧活動をITTOが支援。このプロジェクトでは、収穫したキャッサバが腐るのを防ぐキャッサバ処理機を導入することにより、地域住民の収入増加に貢献。それが重要なインセンティブになり、森林復旧・再生活動への地域住民(特に女性)の参加が促進されたそうです。このように、森林から得られる社会・経済的利益の大部分が地域住民に還元されるのもコミュニティ・フォレストリーの特長の一つです。(キャッサバは、タピオカなどのデンプン製品の原料、家畜の飼料、紙パルプの凝固剤、エタノールの原料など、用途が広い作物。)

日本の企業の中には、インドネシアのコミュニティ・フォレストリーで産出されたチーク材のみを使ってトレーサビリティの明解な家具を製造販売をする、といった事例も見受けられます。

写真協力

(※1)アブラヤシ Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by DrLianPinKoh
(※2)焼畑 Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Wakx
(※3)燃料用木材 Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by springm / Markus Spring
(※4)森林火災 Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by catherinetodd2
(※5)JICAの活動 Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by treesftf
(※6)キャッサバ Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by IITA Image Library
 

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