ニュース&トピックス

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こんにちは、私の森.jp編集部です。

8年目となる2023年の「みんなの夏至祭」。再び感染が拡大しているとのことで、今年も会場参加の人数を抑えたほうが良いだろうと判断、関係者だけで東京の配信会場に集まり、オンラインでご参加いただいた方々と会話を交えつつのハイブリッド方式で開催いたしました。

今年は、海外はスイス/バーゼル、国内は金沢、東京などからご参加いただき、それぞれの場所を緑豊かに飾りながら、「深まる!植物愛」をテーマに、森や植物の恵みに感謝する心豊かであたたかな一夜を過ごすことができました。第一部の飾り付けから第二部のプログラムまでお付き合いくださったみなさま、本当にありがとうございました。

森を祝う「みんなの夏至祭」をきっかけに、森林や林業に関心を持ち、自然への関心と感謝を暮らしに飾って表現する習慣がひろがるといいなと願っています。

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森を祝う「みんなの夏至祭」とは?

年に一度の夏至の季節に、中山間地域と街をつなぎ、森と森に関わる人びとへの感謝を伝える「お祭り」をしたい。都市化されてしまった私たちの五感を「森」へ向けて開放し、同じ想いのある人たちをつなぎたい。そう願い毎年開催しているイベントです。

今年も、キホンは4つのことだけ。あとは自由演技です。

  • 森から杉などヤマの植物を取り寄せて、室内を森のように飾る。
  • 森の「葉」を使った「夏至寿し(ごはん)」をいただく
  • ロウソクやソーラー・ランタンを灯す
  • そして、みんなで太陽と森を祝う

第一部は、「夏至飾りのオンラインワークショップ」を行いました。
昨年に引き続き、里山の植物を手に入れるのが難しい人のために杉玉の高林さん(岐阜県下呂市)が夏至飾り材料セットをご用意くださいました。参加者の中にはこのセットを購入してご参加くださった方も!セットには朴葉もいれてくださったようで、それぞれの場所で夏至ずし(朴葉寿司)を作ってくださっていました。その他にも、ご自分の活動領域で調達された植物で飾られる方もいらして、画面越しに、夏至飾りが仕上がっていく様子を眺めるのはとても楽しかったです。

第二部では、琉球琴の演奏、朗読、今年のサブテーマ「深まる、植物愛!」にちなんで参加者のみなさんが「一人一植物」を選び、その植物への思いを語っていただきました。今年も、オンラインとはいえども、森と対話しながら五感が刺激される特別な一夜を、皆さまと過ごすことができたように思います。

その模様を少し振り返りながら、お届けします。

第一部は、夏至飾りのオンラインワークショップ!

@東京は、私の森.jp編集部があるグラム・デザインのシェアスペース"モネリコ"にて、岐阜の「杉玉の高林」さんから送っていただいた、杉・ヒカゲノカズラなどの枝葉を使って、夏至の装飾がスタート。

リースワイヤーと結束バンドの使い方や、杉枝を繋げるコツをオンラインの画面でお見せしながら解説が進みます。今年は会場の全員が参加できるようなワークショップ型で進行し、それぞれのご自宅でも飾り付け作業に取り掛かっていただきました。

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去年に引き続き、森ラバー林業女子会@石川・金沢のメンバーが今年も参加してくれ、石川県の木でもある"アテ"(ヒノキアスナロ)やそのほかの様々な植物を使って、とても素敵な夏至飾りを作ってくださいました。

毎年ご参加いただいているみなさんも、今年初めて参加されてご自宅で夏至飾りを作られた方々も、思い思いの小さな森を作って楽しんでくださっていたら嬉しいです。杉は花材としても持ちがよく、花瓶にドサッといれて飾っておいても、かっこ良いです。香りが素晴らしいのでぜひ長く楽しんでください。

いよいよ第二部! へ。

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18:00を迎え、「みんなの夏至祭」第二部のスタート。
私の森.jp編集部員の嵯峨さんと一緒に「沼タイズ」という比企丘陵を拠点とした活動をされているお仲間の小林三悠さんによる琉球琴の演奏で始まりました。

琉球琴の演奏~小林三悠さん

琉球琴は、京都に赴いた薩摩藩士が八橋検校の弟子に箏曲を学び、さらにその薩摩藩士から学んだ琉球王朝の役人が琉球に大和の国の箏曲を持ち帰り伝えたもので、以来、琉球王朝の宮廷内の専門の役人によって演奏されてきました。一般に普及したのは琉球王朝解体後に「沖縄県」となってからだそうです。
(参考:琉球筝曲の歴史|美ら箏より)

小林さんは、琉球琴に加えて、ジャンベなどの打楽器を組み合わせ、琴のまわりを自由に周り歌いながら演奏するスタイル。のびやかな歌声と琴や打楽器の音色が会場内に響き渡り、天井にうねる青い龍に動きを与えるような聞きごたえのある演奏でした。
最後は、会場のみんなと演奏しながらの「秩父音頭」。
すてきな演奏をありがとうございました!
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小林三悠(こばやし みゆき)
https://www.facebook.com/meyou.kobayashi

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朗読~高階經啓さん クリスタルボウルのBGMとともに

今年の朗読も、ストーリーテラー、職業・話し相手の高階經啓さん。
BGMはクリスタルボウル奏者の山本コヲジさん
が、「一緒に参加するつもり」と音源を使わせてくださいました。

7年前の夏至祭スタートをきっかけに、人前で朗読を行うことを始めた高階さん。高階さんの朗々と響く声が、聴く人の身体の中にある振動と呼応してすっと入り込むような感覚。みんなの聴く意識・集中力が高まります。
今年は『牧野富太郎自叙伝』第二部 混混録から『わが生い立ち』『植物に感謝せよ』『妻の死と「すえこざさ」の命名』の3節を選び、読んでくださいました。
おおらかで愛に溢れていて、でもちょっと面倒くさい人なのかもしれない(笑)牧野先生がそこにおられるようで、改めて「えっと、私たち、東京で森のことを伝えようと、、、、」なんてご挨拶したくなるような、そんな時間でした。

牧野富太郎自叙伝 第二部 混混録より『わが生い立ち』の一節

私はかつて「帝国大学新聞」にこんな事を書いた事があります。それはすなわち「私は植物の愛人としてこの世に生まれ来たように感じます。あるいは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います。ハハハハ、私は飯よりも女よりも好きなものは植物ですが、しかしその好きになった動機というものは実のところそこに何にもありません。つまり生まれながらに好きであったのです。

ご興味のある方、続きは青空文庫からどうぞ。
牧野富太郎自叙伝 第二部 混混録|青空文庫

夏至祭の朗読では、高階さんとコヲジさんがセッションされることも多いのですが、今年はコヲジさんのご都合がつかず、おふたりの共演は叶いませんでした。その代りに、コヲジさんから「FLOW FLOW SOUNDというアルバムから曲を自由に使っていいよ」ということで、BGMに使用させていただきました。ありがとうございました!
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山本コヲジ|響きもの
株式会社オフィスカレイド

https://office-kaleido.com
「FlowFlow Sound」
https://flowflow.jp/sound/

高階經啓|話し相手、ストーリーテラー
「話し相手」について詳しくはこちら https://www.facebook.com/hanashiaiteT/

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「1人1植物」それぞれが大切に想う植物のおはなし

最後は、参加者それぞれが心に思う植物について話す「1人1植物」のトークリレー。オンライン参加のみなさんにもメールで事前に配布した植物の学名や採取地(思い出の地)を記載するための「植物採取ラベル」とその植物の写真を元に、一人2分ほどの持ち時間で植物愛をみんなと語りあい共有していきました。
まずは、編集長@赤池からのスタート。学名や写真とともに、いのちを還す森づくり「(一財)ハヤチネンダ」の活動領域である遠野市附馬牛のオオバクロモジを紹介しました。

トークのバトンは、会場スタッフとオンライン参加者のみなさんで繋がり、それぞれの思う植物をめぐる話は驚くほど多様で興味深く、改めて私たちの暮らしに植物たちがどれだけの存在感をもってきたのか!と思い知りました。
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【紹介された植物】
・オオバクロモジ
・和梨
・ミルテ(ギンバイカ)
・クスノキ
・月桃(ゲットウ)
・イネ
・八重咲ドクダミ
・烏瓜(カラスウリ)
・さくらんぼ
・スダチ
・浦島草(ウラシマソウ)
・紫陽花
・ムラサキカタバミ
・杉
など。

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写真左:オオバクロモジ、写真右:クスノキ

まだまだ、話したりないこともたくさんありましたが、閉会時間が近づき、今年のみんなの夏至祭も終わりへ...。

今年も森を想う、そして、自然や植物をいつくしむ気持ちを共有する豊かな時間をともに過ごせたことに感謝して、そしてまた来年お互いが元気に再会できることを願って幕を閉じました。

ご一緒できたみなさま、今回は残念ながらお会いできなかった方も、来年また一緒に夏至の夜を楽しむひとときを過ごせることを願っております。

各地でも朴葉寿司や、キャンドル、ソーラーランタンが!

@東京でも、岐阜からお送り頂いた朴葉を使って、恒例の「朴葉寿司」を作りました。 今年は少しゴージャスに(笑)レシピよりもちょっとだけ鮭を多めに入れて作りました。編集部員 嵯峨さんから岐阜のお米(岐阜県揖斐川町産「高橋米」)、同じく編集部員 大和田さんから岐阜の酢(内堀醸造 美濃特選すし酢)を提供いただき、今年もおいしく仕上がりました。朴葉の香りもしっかりと馴染んでとても美味しかったです!

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今年も、温かな雰囲気のなかで助けていただきながら無事に会を進行できたこと感謝の思いでいっぱいです。

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毎年感じることではありますが、今年も森を大切に思う気持ちを持ち寄って参加してくださった方々のお陰で、またまた美しい「森を祝う「みんなの夏至祭」」となりました。本当にどうもありがとうございました!

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faceboookでも当日の様子を投稿しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
森を祝う「みんなの夏至祭」facebookページ


最後に、今年の「みんなの夏至祭」の開催に向けて、多大なるご協力を頂いた方々をご紹介させていただきます。感謝の気持ちを込めて。

■小林三悠さん(琴奏者。ダンス活動家・ソマティクス教育者)

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ダンス活動家・ソマティクス教育者。 
「身体をどう扱うかは社会問題に直結する」という考えを主軸に、カリフォルニア州、ハワイ州、京都、岐阜、沖縄、埼玉と移住定住を繰り返しながら、土地の音を採取してダンサブルなサウンドをつくり、身体表現に関するフィールドワークを行っています。2020年7月に移住した埼玉県比企郡滑川町の自宅を住み開きし、福祉、農業など地域の様々な営みと連携して活動中。

■高階經啓さん(話し相手、ストーリーテラー)

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長年広告のコピーライター・プランナーとして活動。並行して、オンラインで人からお題をいただき超短編創作をプレゼントするというSudden Fiction Projectを主宰し、演劇や映像のシナリオの執筆や演出も行い、朗読家としてライブも開催。八王子長沼の森にある「鎌田鳥山」でも朗読会を行う。2019年より、古くて新しい職業「話し相手」を開始。話すことでモヤが晴れる体験をお届けする頭と心のマッサージです。私の森.jp編集部員。

■須山実さんご夫妻(エクリ)と木林文庫

毎年夏至祭で木や森に関する素敵な書籍をご紹介してくださったり、朗読の選書のご相談にも乗ってくださる目黒の編集出版事務所エクリさん。予約制の施設図書館、「木林文庫」を開いています。

◎木林文庫について(ウェブサイトより)
長田弘さんの樹の詩とエッセイ、日高理恵子さんの樹の画で編まれた詩画集『空と樹と』がきっかけとなり、2010年に牧野富太郎植物園で開催された「樹と言葉展」に関わらせていただき、冊子『樹と言葉』を上梓しました。 この企画展には、エクリ所蔵の「木」の本を八十冊展示しました(「木」を分解すると「八」と「十」になる)。それ以降も「木」にまつわる書籍は増え続け、「木林(きりん)文庫」として、小さな図書室になりました。

■熊崎惣太さん(杉玉の高林)

毎回、夏至祭のために岐阜県下呂の森から香りの良いスギを提供してくださる「杉玉の高林」代表・熊崎惣太さん。オンラインストアでは、夏至飾り材料となる杉の葉(装飾用)のセットをご用意くださっていますので、各地の皆さまへ杉や檜の香りを届けることができました。

杉の葉のセットは、通年でご購入可能です。
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杉玉の高林 オンラインストア杉の葉(装飾用)
https://takabayashi.shop-pro.jp/?pid=160767450

■山本コヲジさん(クリスタルボウル奏者)

2005年悪性疾患の治療中、クリスタルボウルに出会い魅せられ、水晶楽器を奏で始める。主宰サロンや大学、幼稚園での体験型講義を通じて響きの可能性を探求。サントリーホール30周年記念事業フロンティア・プロジェクト選出作品|国内屈指のアンビエント音楽フェス Off-Tone等、イベントや舞台、瞑想会に多数出演。また、心身の流れをテーマにしたブランドFlowFlowの企画、商品開発を行う。1976年国分寺市に生まれ、現在札幌市在住。

■藤木卓さん(MINAMO/ミナモ)

自らを「花見をする人」を意味する「花人(はなひと)」とする華道家。富山市の「MINAMO」をベースに、東京でも活躍されています。初めてお会いした時は「花屋です」とおっしゃっていたけれど、時に舞台を演出をしたり、俳優をされたり。表現の幅が広いようでいて、しかし「ひとつの方向」に向かっていく真摯な姿が素敵なアーティストです。ここ数年は朗読でご参加いただいておりましたが、今年は同日に開催のイベントと重なったため参加は叶いませんでしたが、藤木さんの作ってくださったギミックで今年も会場装飾が美しく仕上がりました。


森を祝う「みんなの夏至祭」2023

2023年6月25日(日)

【第一部・夏至飾りのオンラインワークショップ】

15:00〜18:00

  • 参加者同士でごあいさつ
  • 材料や道具のご紹介
  • 飾り付けスタート

【第二部 夏至祭パーティ】

18:00〜21:00

  • 小林三悠さんの琉球琴演奏
  • ドリンク&フードタイム(お野菜は協生農法の「かすかべ農園」さん、クロモジ茶は遠野のオオバクロモジ、びわの葉茶はグラムで栽培中のもの、お料理はグラム・デザインスタッフ、朴葉寿司は編集部お手製です)
  • 朗読×響きもの 高階さん、コヲジさん(今年は音源で)
  • 「1人1植物」リレートーク ご参加のみなさん、会場スタッフ・演者のみなさん

司会進行は、森を祝う「みんなの夏至祭」呼びかけ人代表/私の森.jp編集長赤池円が務めさせていただきました。

来年もまた集い、森への感謝や想いを共有する時間が過ごせることを願っています。

Facebook:森を祝う「みんなの夏至祭」
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