虫好き大人女子、集まれ!
「虫が好きな大人女子というのは、けっこう孤独なもんです」と本の中にもあるように、「昆虫採集は男子の遊び、虫が好きな女子は変わり者」という刷り込みが身の回りにも広がっている。だから、「本当は虫が好きなんだけど、言うと引かれてしまうから言えない」という大人女子にとってこの本は非常に勇気づけられる存在になるだろう。一方、いまなお「虫の観察なんて男子限定の趣味だろう」と思い込んでいる人は、ぜひp89から始まる「蟲愛づるお茶会へのお誘い」というコーナーを読んでほしい。5人の蟲愛づるヒメたちが愛する虫について実に楽しげに語り合う様子に、世界がきっと広がるはず。
本の中には、パリ郊外にアトリエを構えるマダガスカル島出身のデザイナー、ソフィ・ディガーのスカーフをはじめ、デザイン性の高い虫グッズのアクセサリーやテーブルウェアなどが紹介されており、ブックデザインそのものも可愛い仕上げ。一方、本文といえば自宅の庭で、都内で、国内外の旅先で、虫に出会い、虫と戯れた体験がこれでもかと書き付けられていて圧倒的。虫好きのためには、選り抜きの虫の本や、都内のグリーン・スポット、お気に入りの虫サイトのURLなども充実している。
森を訪れて、森林インストラクターなどに自然観察のガイドを受けると、いつも感動するのは見どころの多さだ。動物の痕跡、特徴的な植物、昆虫の習性、教えてもらわなければ気づけない面白いものだらけで、森はどれだけいても退屈しない、深くて面白い世界だとわかる。ガイドなしでもそんな風に楽しめるようになりたいと憧れる自分にとって、この本のp36「コラム1 虫目のつくり方」は「森林の歩き方/虫編」としてとても参考になった。ここにその見出しだけ書き抜いておこう。
その1 カメよりゆっくり歩く
その2 視線は下方に
その3 しょっちゅう図鑑を見て、見たい虫のイメージをインプット
その4 植物の名前も覚えて、虫の食草を知る
その5 「この虫を見たい!」と強く思う
虫に限らず、樹木や草、きのこ、野鳥、獣などいろんなテーマに応用できるのでは?
詳しくは本書p36をご覧あれ。
(参考)
鈴木海花の「虫目で歩けば」━蟲愛づる姫君のむかしから、女子だって虫が好きでした。(blog)
(編集部:たかしな)