「これから山デビュー」という人にオススメ
まず表紙が楽しい。タイトルまわりの「ほぼ初心者向け!」「0泊1日のワイルドな休日」という言葉には笑ってしまうし、右上にずらっと並んだテーマの最初は「なんちゃってアルプス」。左下には「富士山が遠すぎるあなたにも……。」なんて国民の多くが思わずはっとするようなキャッチコピーがおどっている。何よりタイトルの「山さんぽ」がいい。山歩きの本はたくさんあるが、これは雑誌『散歩の達人』が編集した「山さんぽ」という切り口のムックなのだ。
ページをめくれば、大きくきれいな風景写真もたっぷりで、目に楽しい。ライターさん(そのほとんどは女性ライター)が自ら踏破したコースを臨場感たっぷりに紹介してくれるので、知らない山でも親しみを感じられてくる。アクセスやコース、歩行距離や時間、アクセスにかかる時間や交通費なども一目でわかりやすくまとめられていてデータブックとしても使いやすい。
気になる「なんちゃってアルプス」は、沼津、三浦、長瀞、鎌倉にある「〜アルプス」と名のつくコースを紹介したもので、他にも「富士山を眺める山」「ちょっぴり縦走気分」「小さな探検」など、ちょっと試してみたくなるようなうまいテーマ設定で25のコースと、番外編として日帰りは無理な北アルプス縦走まで取り上げられている。つまりこの一冊で高さ300メートル程度の山さんぽを楽しむ世界から、ちょっと上を目指して中級者向けの登山までカバーしているわけだ。
もちろんビギナー向けに装備や、山ごはんのつくり方、必需品の非常食も楽しんで選ぼうという提案、そして大切なリスクマネジメントのことまできちんと読みやすくまとめられているので、「これから山デビューしたいけど、どうしたらいいかわからない」という人にオススメ。身の回りにそんな人がいたらぜひ紹介してあげてください。
(編集部:たかしな)