「里山カフェごはん」と言いたい、楽しくていい匂いのするレシピ集
「旬の食材を、季節の調理法で味わいつくす 里山暮らしと庭先レシピ集」と書かれた帯を見たら、開かずにはいられない。この本は、以前、当サイトの「あの人の“森”語り」でインタビューさせて頂いたネイチャークラフト作家、長野修平さんの近著。長野さんは現在、神奈川県・相模原の道志川の畔で家族4人で里山暮らしをされている。15年を超える里山暮らしを通じてすっかり「野外料理」の達人になられたのだと、まず驚いた。
ページをめくると、おいしそうな料理と里山暮らしのシーンの美しいラッシュ。すでに充分「ごちそう帖」という満足感がある。でもそれだけで終わらないのが、この“ごちそう”の妙味。
春なら山野草に野イチゴ、夏は夕涼みの炭火BBQ、川魚に青竹とクマ笹など、四季折々の旬の素材を使った料理のレシピを紹介しているのはもちろんのこと、青竹で流しソーメンをするときに「カトラリー」も青竹でつくる方法など、ネイチャークラフト作家ならではのアイデアが各所に盛り込まれている。また、火のおこし方、保存食の作り方、キャンプの楽しみ方など、実践マニュアルとしても使えそうだ。
「野イチゴのカッペリーニ」、「ノビル生春巻きの3色ソース」……料理の一つ一つが洗練されていて、野外料理というよりは街のカフェごはんのよう。なんだかワクワクと女子心(?)をくすぐられる。里山ライフのおいしいエッセンスをギュッと凝縮し、長野修平さんというフィルターにかけてキラキラの滴を抽出したようなレシピ集。読んでいる間ずっと楽しくていい匂いがしていた。
(編集部:おおわだ)