「バードウォッチング」という言葉はなじみがありますが、ここでオススメするのは鳥の声を聞きに行くこと、「バードリスニング」と言った方がいいかもしれません。することはただ一つ、森や林のなかで耳を澄ますだけ。特別な知識や技術がなくても、誰でもすぐできる森遊びです。
季節が暖かくなって、里山を歩き回ったり、ハイキングをしたりするときに、どこからともなくホーホケキョなんて聞こえることがあります。そんな時「あ!ウグイス!」なんて嬉しくなりませんか? これも立派なバードリスニング。ウグイスのさえずり(求愛期の鳴き声)はとても特徴があるので、誰でもすぐにわかりますね。
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でも、ウグイスの姿を見かけたことがある人は少ないのではないでしょうか。それもそのはず。ウグイスは笹やぶや茂みの中が好きな上、目立たない、くすんだ体色をしているので、意外に見つけにくいのです。ウグイス色をしたメジロのことをウグイスだと間違える話もよく聞きます。
ウグイスに限らず、小鳥の姿を見つけるのは結構むずかしく、特に葉の茂る季節はなおさらです(初心者が「バードウォッチング」するなら木々が葉を落とす晩秋から初春がいいそうです)。でも、諦めることはありません。山登りの途中、人気の少ないところで一息ついてちょっと耳を澄ましただけでこんな体験ができるはず。
たとえば、すぐにツピー、ツピーという声が聞こえてきます。町中でもよく聞くシジュウカラの声です。よくよく耳を澄ますと、せっかちに鳴いているのや、テンポの遅いのもいます。メロディが違うのもいます。それはヒガラやコガラ、ヤマガラ、ゴジュウカラなどシジュウカラの仲間の声を聞いているのかもしれません。
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季節によっては、昼間でもホーホー、ホーホーとフクロウの仲間の声がすることもあります。アオバズクでしょうか。夏場にヒンカララララララと聞こえるのはコマドリ。遠くから聞こえる馬のいななきのようなさえずりが、「駒」という名前の由来だそうです。
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鳴き声ではありませんが、トゥルルルルッという素早い音や、トコトコトコトコという機械のような音が聞こえてくることもあります。これはコゲラやアカゲラなど、キツツキの仲間が木の幹をくちばしで叩く音で、「ドラミング」と呼ばれているそうです。
いったん聞こえ始めると、森の中は鳥の声でいっぱい。ほんの少し耳を澄ますだけで、鳥や動物の気配、風の音や水の音が聞こえてきて、いままで気づかなかった森の楽しみ方が広がるはず。あふれんばかりの緑に囲まれて、おいしい空気を吸って、美しい花や風景を眺めながら、全身で味わう森遊び、「バードリスニング」に挑戦してみてください。
野鳥の声と録音のサイト(松田道生さんのサイト)