全国各地で、さまざまな企業、自治体、NPOやボランティア団体などが50年先、100年先に思いを馳せながら苗木を植えています。植林は、森林ボランティアが行っている幅広い活動の中で、いちばん誰もが参加しやすいボランティア活動かもしれません。
そんな中で、裏高尾小下沢風景林(国有林)で荒廃地へ広葉樹を植樹して混交林の造成を進め、下草刈り、ツル切り、傷んだスギ・ヒノキの除間伐などの森林整備にも取り組んでいるのが、社団法人日本山岳会 高尾の森づくりの会。多様で豊かな森の復元を目指して、年間合計のべ1800人程のボランティアが活動しています。
毎年4月には、広く一般市民に呼びかけて「植樹祭」を開催。第9回となる2009年4月12日(日)には、小学生からシニア層まで600人近い老若男女が集まりました。ベースキャンプで全員が4班に分かれ、ヘルメットをかぶり軍手を携えて目的地へ。
植える場所は、小下沢山山頂南西斜面の国有林。会員の方達があらかじめ1月から地ごしらえを行い準備してきた、8.5haほどの斜面です。30度〜45度という急傾斜面は、初めて参加する人にとっては「立っているのがやっと、姿勢を崩したら滑り落ちそう」という角度ですが、熟練者は軽々とした身のこなしで手際よく作業を進めます。
一般参加の植樹はこれで完了ですが、会員は一ヶ月後に植えた苗木が活着しているかどうかを確認しに再度訪れる予定。そして、夏には下草刈りやツル切り、秋には間伐と一年中森の仕事に取り組んでいます。
この日植えたのは、ブナ、ミズナラ、ケヤキ、コナラ、マメガキなど27種類の広葉樹の苗木1520本。第1回から合わせると13000本になります。最初に植えたウワミズサクラなどは、高さ8〜10m、太さ10数cmに育っているそうです。
「広葉樹の混じる混交林の比率を現状の18%から58%に増やす」という50年後の目標に向けて、植林ボランティアの活動は続きます。
- 会員ボランティアNさん
- この植樹の一ヶ月後にまたここへ来ます。植えた苗をサルが引き抜いたり、イノシシが根を食べたりすることがあるので、ちゃんと根付いているかどうかを確認し、場合によっては植え直すためです。山に入るとき、ナタとノコギリは必需品。会員はみんな、いつもベルトで腰に装着しています。間伐用のマイ・チェーンソーも持っているんですよ。
- 一般ボランティアOさん
- 斜面が思ったよりも急傾斜で、初めは滑り落ちそうで身動きできませんでした(笑)。でも、せっかく植樹に来たのだからと気合いを入れて、クワで穴を掘りマメガキの苗木を植えました。こんなに急斜面をものともせずに間伐や枝打ちなど森の仕事をしている人達はスゴイ!と感服しました。植えた苗が立派な木に育ちますように。
- 一般ボランティアAさん
- こうして植樹をするのは気持ちがいいですね〜。ベースキャンプで炊き出しして頂いた、豚汁とつきたてのおもちがとても美味しかった。植樹の指導やガイドはもちろん、後方支援してくれるメンバーやサポート企業も含めた総合力で、植樹祭が成り立っているのだと実感しました。次は間伐ボランティアをぜひやってみたい!