香川県仲多度郡まんのう町に住む松下勝さんは、2009年3月24日で82歳。運送業に携わった後、38年間にわたり経木をつくり続けています。現在は2人の従業員とともに経木工場を運営するかたわら、見学者を受け入れたり、地元の小学生向けに経木体験講座を開いたりなど、経木づくりの普及にも取り組んでいます。
注文が立て込んで、生産が間に合わんのや。名古屋から鹿児島まで、毎日FAXが入ってきよって、だいたい1件で3ケース、4ケースの注文がある。1ケース4000枚くらい詰めて出荷しよる。出荷された製品は、おまんじゅうとか生菓子とか巻き寿司をつつむのに使われとる。香川県の鳥坂饅頭の包装は、全部うちの工場の製品や。製品の価格は、平均して100枚が430円〜500円。
例えば、たい焼きなんかの熱いものを包むとき、トレーに入れたらトレーは変形してしまうし、水分を飛ばさんから中のものがだめになってしまうやろ。木やからみんな燃えると思うかもしれへんけど、経木はレンジにもかけれる。それに松は、殺菌力があるから、トレーやったら2日しかもたんものが、経木やったら4日から5日もつ。防腐剤の役割もする。
原木は全部松なんやけどな、松じゃなけりゃいかんわけや。(中略)松でもな、脂肥えゆうてな、肥えたら脂が出ていかんのや。松食いがきよるし松は造林しよらんから、森林組合でもどこでも松に代わる品種を改良しよるらしいけどな、今んとこ松に代わるもんはないなあ。原木の松は、全部徳島の剣山から来よる。香川県の松は松食いでやられてしもてな。気温が低いとこには松食い虫はつきにくい。
科学が発達したら、公害が出ることは間違いないんや。自然のものを自然に作ったら公害は出んのや。この工場やったら、廃材を燃やしとるから、大気汚染はないし、有害物質も出しとらんから環境にやさしい。製材するときに出た、製品にはできん節の部分や木の皮とか、製品には使えん木の部分はようさんあるんやけど、全部熱風を送るためにボイラーで燃やして使う。ボイラーで燃やすときも、燃やしとるんは木やから公害にもならん。自然に作ったもんは害にはならんのや。出た灰や木屑も農家に回して使ってもらう。だから、木は全部使えるんや。捨てなあかんところは少しもない。
松下勝 香川県仲多度郡まんのう町 82歳(取材当時) | |
松尾美侑 啓明学院高等学校三年(取材当時) |