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あの人の森は?
あの人の“森”語り:中村 道雄さん

あの人の森は?

あの人の“森”語り

「捨てられる運命の木が、絵になるんです」 第十三回ゲスト 中村 道雄さん プロフィールはこちら

命に満ちあふれた里山で遊ぶ

岐阜県の養老山脈の懐、里山という雰囲気の田舎で育ちました。遊びと言えば、魚捕り。家の近くの小川にすごくきれいな水が湧き出ていて、メソと呼んでいたヤツメウナギの小さいのとか、トゲのある針魚、ウグイ、オイカワ、カワムツ、アブラハヤなどがいっぱい。どこへ行っても命に満ちあふれていました。

田んぼの中に掘田という灌漑用の池があって、フナとか雷魚とかがいまして。夏場になると、物干し竿みたいに太い竹竿にでかいモリをつけて田んぼへ行って、魚が上がって来たところを狙って“突く”んです。真っ暗な中でガスランプだけを頼りにね。下手するとズボッと池に落ちるんですが、親はみんな平気で許していましたね、あんな怖いことを(笑)。

他にも、魚を素手でつかんだり、水中鉄砲、四つ手網、かいぼり、土管流し、いけ荒らし……いろいろな捕り方がありましたね。とにかくしょっちゅう魚を捕っては放しを繰り返して遊んでいました。

今でも記憶に残っているのは、あの頃の匂いですね。蛍の光の何とも言えない青臭いような匂いとか、ヨシとマコモと池の水が混じった泥臭いような匂いとか。夏はムッとするような草いきれ、秋になると野焼き…。中でも一番想い出すのは川の匂いです。季節によって変わるんだけど、冬の匂いがすごくシンとしていて好きでした。

 

新宿の「キリスト」からイラストレーターへ

僕はね、子どもの頃から協調性がなくて、高校では不良少年で遊び惚けていました。たまたま受けた商事会社に合格して入社したんですが、半年で8キロも痩せて飛び出し、会社勤めをあきらめて洋服のデザインを身につけようと思って東京へ出ました。

洋服のデザイン科に入って何を学んだかほとんど覚えていません(笑)。一つだけ強烈に残っているのは、テキスタイルの課題でケント紙にびっしり描いた絵を「これはすごい!」と先生が持っていっちゃったこと。その頃からちょっと「絵でやってみようか」と考え出したんです。

当時は学生運動の時代で、新宿では駅前の植え込みで寝泊まりしているフーテン族という人々がいました。僕も時々そこに寝泊まりしていたんですが、ひげを伸ばして長髪だったんで「キリスト」と呼ばれて。そうやって5、6年は遊んでいました。学校もやめてしまって、ただコツコツと独学で絵だけは描きためていましたね。

その頃はちょうど、横尾忠則さんとか宇野亜喜良さんとか「イラストレーター」が花形職業として脚光を浴び始めていて。僕も出版社に売り込んで、『平凡パンチ』『プレイボーイ』などのファッション雑誌でイラストを描くようになりました。

フーテン族時代の中村さん

 

人間も自然の一部。だから「木」を画材に選ぶ

25歳ぐらいから、子ども向けの絵本の仕事を始めた頃。オイルショックがあって、「なんか変だ、まずい方向に突っ走っている」と感じました。例えば、木の桶がプラスチックに替わってしまったように、便利さを求めて人間が横着になり傲慢になっていると。だからちょっと警告したいと思って、ごみを扱った創作絵本をつくろうとして、その時に「木」という素材と出会ったんです。

「ふるいみらい」amazonのサイトを開きます。 木という自然の素材を使うことによって、人間も自然の一部なんだということをもう一度見つめ直してもらうきっかけになるのではないか。そう思って、木を使って一冊目の絵本をつくりました。それが、組み木絵絵本『ふるいみらい』です。その後しばらく組み木の絵本づくりを夢中でやり、だんだんに大きな壁画の仕事なども来るようになり、また、組み木絵の版画なども手掛けています。

僕が組み木絵の材料として使っているのは、捨てられる運命にある「端材」です。かつては、深川の木場の材木屋さんへ行って端材をトラックいっぱい分けてもらったり、製材所で失敗した板をいただいたりして集めていました。今は、テレビなどで見た地方の材木屋さんや仏壇屋さんが端材を送ってくださったりして、随分たまっています。

 

木の良さをもっと知ってもらいたい

材料として木を選ぶのは、他の絵を描くという行為とは全然違った醍醐味があります。下絵を描くときに大体「ここに こういう色の木を使おう」とイメージしてますが、木目までは予測できません。木目は出会いです。選び方によって思わぬ効果があります。木目は一つとして同じものはないから、本当に出会いなんです。

きれいな正目の、節一つないような材料だと表情が出なくて絵にならない。かえって、家具などに使にくい白太とか、製材されない根元の部分、それから縮みが入っているような老け木なんかが絵になるんですよ。空の色にぴったりの珍しいブルー系統のトチの木に出会ったり…。木と技術との出会いとは、本当に贅沢なことだなあと思います。

空には珍しいブルーのトチの木だから、組み木絵を通じてそういう木の良さをもっと知ってもらいたい。僕はまず、国宝級の組み木絵をつくりたいし、組み木絵をアニメーションにして動かしたい。最近は、日本の森が大変な状況にあると聞き、国産材だけ、あるいは国産間伐材だけで構成する作品にも取り組むようになりました。そうやって、捨てられる運命にあった端材から生まれる組み木絵の世界を、少しでも多くの人に知ってもらいたいと思っています。

 

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プロフィール

中村 道雄(なかむらみちお)

組み木絵作家
 

1948年、岐阜県に生まれる。
イラストレーターとして月刊誌、レコードジャケットなどの仕事を始めるが、あきたりず、自作絵本の準備中に木との出会いがあり、<組み木絵>を 考案。84年、組み木絵本第一作『ふるいみらい』を発表して以来、絵本・時計・壁画など、一作ごとに独自の分野を切り開く。

 

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