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あの人の森は?
あの人の“森”語り:降矢 英成さん

あの人の森は?

あの人の“森”語り

「森に浸って、やさしく包まれて、ひとは元気になるんです。」 第十五回ゲスト 降矢 英成さん プロフィールはこちら

森というより山、の少年時代

僕が育ったのは、「ゲゲゲの女房」(※NHK連続テレビ小説)で話題の調布です。東京の近郊で都会でも田舎でもない中間的な場所で、一番近い森と言えば高尾山でした。 僕の両親は元々「山仲間」で結婚に至ったらしく、特に母は「アルプスは凄く奇麗だから、行ける様になったら行くといいよ」みたいなことを子どもに言う人でした。父親はゴルフ好きだったのですが、富士山とか八ヶ岳とか、やっぱり山のほうにゴルフ場の会員権を買うんですよ。夏休みといえばゴルフ場のロッジに家族で泊まり込んでいました。畳敷きのプレハブの宿舎に1週間ぐらい滞在して、父親はゴルフ、双子の弟と僕はその辺りでもっぱら虫採り。かごいっぱいにトンボを採った、そんな八ヶ岳高原ゴルフ場の夏の風景を覚えています。

奥多摩湖中学生の頃、僕は担任の「クラブにはいると不良になる」という注意を真に受けて(笑)、部活はしてなかったのですが、2年生ぐらいから、同じクラスの山好きの友達と3、4人で奥多摩とか奥武蔵あたりにハイキングに行くようになりました。春や秋になるとみんなで計画をたてて、ガイドブックを見ながら歩いて、夕方には里山に帰ってきて……。鉄ちゃんまでは行かないけど「半鉄」くらいだった僕は、時刻表とか嫌いじゃないし、コースを考えたりするのも好きで。楽しくて高校くらいまで、続けていましたね。

大学では絶対クラブに入ろうと決めていて、入ったのがワンダーフォーゲル部です。一番覚えているのが、もっともキツかった1年の時の強化合宿。丹沢に行って、すごく長いコースを25、6キロぐらいの荷物を背負って歩いて、ヤワだった僕はくたくたボロボロになってしまった。その時に霧が出てきて、ブナの緑がきれいで、シカがいて。ふらふらになりながらもきれいだと感動した。その緑の美しさは強烈に覚えていて、今でもふっと浮かぶことがあります。

 

ホリスティック医学に共感

大学時代、僕は西洋医学を学びながら、だんだんホリスティック医学の方向へ視野が向いていきました。人間の身体が元々持っている自然治癒力を高めることで健康を回復させるホリスティック医学の世界観が、自分の目指す方向だと思ったのです。それで、ちょうど大学を卒業した頃、当時評判になっていた北アルプスの「穂高養生園」に初めて行きました。森の中で患者さんたちが「朝の散歩」といって運動療法をされているのに出会いました。先導する先生が凄いスピードで道を上がっていくので、患者さんたちはついていけない。けれども「時間になったら途中で帰るだけだから、それでいいんだ」というんですね。その時、「ああ、ここは森なんだ」と感じました。ひたすら頂上を目指す山登りとは違って、森の中を自分のペースで歩く運動療法。食事・運動・ストレスの対策をしっかりやるという養生には、森や自然が大事だなと思いました。そして、いつか自分もできたらいいな、と思っていました。

朝の散歩、穂高養生園

 

山ではなく森で養生

降矢 英成さんある時、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんが、「山に行くと、よく学校の先生と生徒が登ってくるのに出会うが、生徒は本当につらそうな顔をしている。これでは子どもは自然が嫌いになってしまう。なぜ自然体験イコール山登りでなければならないのか。もっと自然の中をゆったりと味わえるようにすればいい」という風なことを言っておられるのを知り、なるほど同感だなと思いました。山の頂上を極めるというのはわかりやすいけれど、ピークじゃないと駄目、成功しないと駄目というのが子どもの時に植え付けられてしまうんですね。

今から6〜7年前、ずっと心療内科をやって来たなかで「漢方やハーブを使ったり心理療法を行っても都会の人たちには自然体験がないから、このままでは机上の空論になりかねないな」と感じ始めた頃のことです。夏休みに清里のキープ協会に行くと、やさしい明るい森に遊歩道ができていました。その森にはピークはなく坂道も少なく歩きやすくて、森の中をただ楽しむ、味わうことで充分癒される感じがしました。初めてそういう場所を見つけたんです。これはちょっと違うぞ、と。それで僕は、山ではなく森が養生医療とつながる、疲れた人を山に連れていくのは難しいけれど、こういう森になら疲れた人も連れて行けると考えるようになりました。

 

キープ協会 森療時間プログラムより殆ど時期を同じくして、北海道の下川町で森林療法をやろうとしていた方が訪ねて来られたこともあり、日本にもそういう気運が出てきたと思って、この辺りから本格的に森林養生というのを始めました。

養生というのは、命を養うこと。平たく言えば、自然治癒力を上げていくこと。その時に自然のものをちょっと長めに使っていくイメージです。薬や人工物でなく、食事でだんだん身体を変えていくとか、呼吸法とか、自然のエネルギーをもらって高めていくという感覚。森林にも繰り返し行って、それを生活のパターンにするのが理想です。

 

僕は個人的に森が好きで、中でも「木」が好きです。鳥や花の名前はすぐ忘れちゃうけど木の名前は覚えている。模様とか木肌とかも理屈じゃなく好きなんです。自分にとって楽しいわけですから、これはもうやめられないなと思いました。もちろん、自分自身も癒されますしね。

木々の写真

 

森のエネルギーをいただく

森に入るとそれだけでほとんどの人が、なぜかわからないけど元気になります。疲れがとれて癒される。これはほぼ間違いないです。森へ行った人は、理屈抜きで喜んで帰っていきます。理屈をつければ、自律神経が云々、免疫力が云々といろいろありますけどね。

森のエネルギーみたいなものをいただけるのだと思います。滝のように強烈なエネルギーではなくて、やさしいエネルギー。やさしい森に浸って包まれて、だんだん元気になる。ピークとか登り坂とかそういう厳しいものではなくて、やさしく受け容れて包んでくれる感じですね。

ストレスで疲れている方、ワーカホリックで自然に触れていない人たち。ほとんど全ての方に森へ行っていただきたいと思います。僕のプログラムでは、森の中で気功のようなことをやったりもしますけど、型とかポーズとかの前に「ゆっくりやる」ということが忙しい人には難しいんです。でも、それが出来るようになったときには心持ちが変わります。あの自然のゆっくりした東洋のリズムに身体が合ってくると、考え方も変わってくる。こういうことは実際に体感しないとわからないので、押しつけはしませんが(笑)。

森林療法体験会の様子

 

プロフィール

降矢 英成(ふるや えいせい)心療内科医

降矢 英成(ふるや えいせい)

心療内科医

1959年生まれ。東京医科大学卒業。現在、赤坂溜池クリニック院長および併設するホリスティックヘルス情報室代表。人間を全体的な視点からとらえる「ホリスティック医学」の理念をモットーに、クリニックでの診療だけでなく、帯津三敬病院、富士ウェルネスセンターなどで心療内科を中心に診療を行っている。日本心身医学会専門医。日本ホリスティック医学協会副会長、日本メディカルハーブ協会副理事長、日本森林療法協会理事。

● 著書

 

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