森林・林業白書の発売は例年5月末から6月の初めごろです。それに先立ち、林野庁のホームページで内容の全文が公開されます(4〜5月)。内容を早く知りたい人は4月頃から下記ページをチェックしておくとよいでしょう。
全体の構成は例年ほぼ同じで、「第1部 森林及び林業の動向」「第2部 森林及び林業施策」と、巻末の参考資料の3つのパートに分かれています。
「第1部 森林及び林業の動向」は、その年ごとのトピックスと、特集章としての第1章と、第2章以降の通常章に分かれています。通常章は例年、「温暖化対策」「森林」「林業」「木材産業」「国有林」の章立てとなっています。
「第2部 森林及び林業施策」は前年度に講じた施策と、翌年度に講じる予定の施策をまとめています。また巻末に参考資料がついており、参考付表には最新のデータが満載です。
森林・林業白書の、いわば編集部として機能するのは林野庁の施策部会(林政審議会の下部組織)です。年4回程度の部会を開き、特集のテーマ、構成や内容を決め、原稿を検討・確定します。実際に原稿を執筆するのは林野庁の職員(年次報告班)で、庁内や各府省とも協議して内容をまとめていきます。その内容は上部組織の林政審議会の審議に回され(諮問)、その確認(答申)の後、閣議決定を経て、国会に提出されます。
これらは、政府は毎年国会に報告を提出しなければならない、と定めた森林・林業基本法の第十条に基づいて作成されています。なお、林政審議会の委員(任期2年)は、広く一般から公募していますので、関心のある方はチェックしてみてください。
奥付には、ご意見等の受付先が書いてあり、担当の方が質問にも丁寧に答えて下さいます。
ところで、白書とは何でしょう? 大辞泉によれば「政府の各省庁が、その所管とする行政活動の現状や対策•展望などを国民に知らせるための報告書。日本では、昭和22年(1947)片山内閣が発表したのが最初。もと、英国政府の報告書が白表紙を用いたところからいう。」とのことです。語源は英語のWhite Paperですが、本来これは日本の白書とは違って、議会に対する具体的な「政策提案書」の意味が強いそうです。
さて、「森林・林業白書」はというと、平成14年度が最初のもので、それ以前は「林業の動向に関する年次報告」の名称で発行されていたものを平成元年版まで遡ることができます。試しに平成元年版の「はじめに」を読んでみると、そこには「国産材は供給体制に立ち遅れがみられ」「自給率は3割を下回っている」「我が国の森林資源は(中略)近年蓄積が著しく増加し」と20年前も現在と同じ問題が記されています。
また海外の森林についても「開発途上地域における森林の適正な保全と利用、緑の再生に向けた取組に対し、積極的に協力することにより国際社会に貢献していく必要がある」と、現在にも共通する話が書かれており、いずれも持続的に長期にわたって取り組むべき課題であることを実感させられます。
Wikipedia「白書」
平成元年度 林業の動向に関する年次報告
農林水産省図書館 > 電子化図書一覧 > 森林及び林業の動向に関する年次報告関連(平成元年度〜)
林野庁>これまでの森林・林業白書(林業白書)の特集について(PDF)
森林・林業白書をamazonなどで探すと、同じタイトルで表紙が異なる2種類がヒットします。どちらを買えば良いのだろうと迷ってしまうのですが・・・実はこれ、表紙が違うだけで内容は全く同じだそうです。「出版の申請があった者に許可を出している関係で、2協会から出版されています。表紙が違うのみで、中身は同じです。」(林野庁企画課 白書作成担当)との事。
どちらを選ぶかはあなた次第。ネット上の情報では間伐紙の使用について触れているもの、いないものがありますが、どちらも間伐紙を使用しているのでご安心を。