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森林・林業白書を読もう!:平成23(2011)年版:平成23年版はこう読む

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森林・林業白書を読もう!:平成23(2011)年版:平成23年版はこう読む

はじめに

岩手県住田町では、町産材(7割がFSC認証材)を使った町独自の木造仮設住宅が建てられ、注目を集めた。(写真協力: 建築士の嵐)

岩手県住田町では、町産材(7割がFSC認証材)を使った町独自の木造仮設住宅が建てられ、注目を集めた。(写真協力: 建築士の嵐)

2011年3月11日に起きた東日本大震災。地震・津波による被害は未曾有の規模となり、東北地方の森にも及びました。地震による地すべり、山火事の発生や林道の損壊、津波による海岸林の被災、そして沿岸部の木材加工工場も被害甚大でした。

平成23年版の森林・林業白書の大部分は震災以前に編集されているため、白書には、森林・林業・木材産業が甚大な被害にあった事実と、林野庁の救援活動や今後の復興に向けて全力で取り組むとのトピックスが掲載されるにとどまっています。

そこで、私の森.jpでは、3.11からの復興と新しい日本の姿を視野に入れ、そのなかで森が果たす役割を考えながら森林・林業白書を読み、ポイントをみなさんにご紹介して行きます。折しも今年は国際森林年。少しでも興味を持たれたら、白書は書籍でもPDF版でも手に入りますので、ぜひ読んでみてください。きっと新たな発見があるはずです。

 

2011年度は「森林・林業再生元年」

本年の森林白書、冒頭の「トピックス」では、主に森林・林業の再生に向けた改革について取り上げ、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の成立や国際森林年の活動なども一部紹介されています。

林野庁「平成22年度 森林・林業白書」(トピックス参照)

農林水産省が2009年に策定した「森林・林業再生プラン」は、2010年6月に「21の国家戦略プロジェクト」の一つに位置づけられ選定されました。森林・林業に関する施策が国家的な戦略に位置付けられることは、これまでになかったことです。

より具体的、実践的なプランとして、2010年11月に「森林・林業の再生に向けた改革の姿」がとりまとめられました。目指すは、10年後の木材自給率50%以上。この目標に向けて、森林・林業に関する施策・制度・体制を根本から見直し、新たな政策を構築するため、次のことを進めるよう提言されています。

適切な森林施業が行われる仕組みの整備、低コスト作業システムのための条件整備、担い手となる事業体や人材の育成、国産材の効率的な加工・流通体制の整備、木材利用の拡大などです。

これらを実現するため、いくつかの新たな取り組みを開始。たとえば、木材輸送や森林林業の効率化を図るため、10トン積みトラックが走行する「林業専用道」と林業機械が走行する「森林作業道」を分けて、丈夫で簡易な路網整備を推進する取り組み。また、地域の森林づくりの全体像を描く人材「フォレスター」の育成も本年度から始まります。

 

公共建築物の木造化を目指して

町有林から木材を調達して改築をした栃木県の茂木中学校(森林・林業白書平成23年版より)

町有林から木材を調達して改築をした栃木県の茂木中学校(森林・林業白書平成23年版より)

そして、もう一つ注目すべきは、2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。同法の施行にともない、農林水産省と国土交通省では、公共建築物については可能な限り木造化・木質化を図り、国が整備する低層の公共建築物は原則として全て木造化を図るとの目標を掲げました。

こうして木材利用が推進されることで、わずか7.5%であった公共建築物における木造建築の割合が高まり、新たな「木の文化」が生み出されることが期待されます。

 

森林が本来もつさまざまな機能を発揮し、木材がより多く使われ、自然エネルギーとしても利用され、雇用を創出して山村地域が活性化し、低炭素社会にも貢献できるように……。

「2011年度を森林・林業再生元年とします」と白書に書かれているように、私たち自身もこれからの森のあり方について、新たに考えていきたいと思います。

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