森林・林業白書 平成25年(2013)年版 の巻頭、5大トピックス。その一つとして「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」等により木質バイオマス利用を推進というテーマが取り上げられています。
ここでは、2012年7月から始まった固定価格買取制度によって、木質バイオマスから発電された電気については「間伐材等由来の木質バイオマス」「一般木質バイオマス」及び「建設資材廃棄物」の別に定められる固定価格で20年間買い取られること。また、同年8月には、間伐材等由来の木質バイオマス施設として初めて、福島県会津若松市の木質バイオマス発電所が電力会社への売電を始めたことなどが紹介されています。
第IV章では、住宅分野における木材利用、公共建築物の木造化に続いて「木質バイオマスのエネルギー利用」について解説されています。その概略は、以下の通りです。
- 木材をエネルギー利用する場合、最近では主に、木材を小片に切削・粉砕した「木材チップ」や、おが粉等を圧縮成形した「木質ペレット」が使われている。
- 木材チップについては、原料となる木質バイオマスのうち、「建設発生木材(解体材・廃材)の利用が進む一方、「未利用間伐材等」がほとんど使われていない。
- 収集・運搬コストがかかるため林内に放置されている未利用間伐材は毎年約2,000万立方メートルと推計されている。
- 木質バイオマスのエネルギー利用を進めるためには活用が不可欠であるとして、林野庁が安定供給のために施業の集約化、路網の計画的な整備、林業機械による作業システムの整備等に取り組んでいる。
- 木質ペレットは、形状が一定で取り扱いやすい、エネルギー密度が高い、含水率が低く燃焼しやすい、運搬・貯蔵も容易などの利点がある。年々生産量が増加し、2011年の国内生産量は約7.8万トンに伸びた一方、2012年の輸入量が7.2万トンであり、国内における木質ペレット生産工場の規模拡大を進める必要がある。
さらには、蒔の利用が近年増加しているというデータも。2008年意向増加傾向に転じた蒔は、2011年には5.4万立方メートル(丸太換算)。利用は、主に山間部の家庭で薪ストーブや蒔き風呂に。2012年12月には、薪の需要拡大に向けて規格や品質の基準作成に取り組む「一般社団法人日本薪協会」が発足した、とあります。
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が2012年7月に導入されました。調達価格等算定委員会が決定した2012年度の木質バイオマスから発電された電気の買い取り価格は次の通り。(買取期間:20年間)
「間伐材等由来の木質バイオマス」を用いる場合 | 33.6 円 /kWh |
「一般木質バイオマス」を用いる場合 | 25.2 円 /kWh |
「建設資材廃棄物」を用いる場合 | 13.65円 /kWh |
木質バイオマス発電施設(福島県会津若松市)
林野庁は、木質バイオマスが発電の燃料として円滑かつ秩序をもって供給されるよう、2012年6月にガイドラインを取りまとめ、バイオマスの伐採または加工・流通の際、納入された木質バイオマスが間伐材由来、または、一般木質バイオマスであることを証明する取り組みなどを進めているとのこと。木質バイオマスの活用促進へむけて、より具体的な動きが紹介されています。
例えば、固定価格買取制度の導入を受けて、各地で木質バイオマスによる発電施設が建設・整備され、その地域への経済波及効果はについて、以下のような試算が紹介されました。
【標準的な送電出力5,000kWの発電所の場合に見込まれる、地域への経済波及効果】
- 年間約10万立方メートルの間伐材等の未利用材の燃料としての使用
- 約12~13億円の発電収入(うち燃料代は約7~9億)
- 50人程度の雇用
今後、地域経済の発展に貢献することが期待されていると、まとめています。