3北方林
地球全体でみると、植物と土壌に蓄積されている炭素の総量の約4割が北方林と熱帯林にあります。熱帯林では、植物体(幹+枝+葉+根)と土壌に、ほぼ同じ量の炭素が蓄積されている一方、温帯林や北方林では土壌のほうに多く、特に北方林では生態系の8割以上の炭素が土壌有機物のかたちで蓄積しています。(北方林とは、ロシア、北欧、北米等の高緯度に広がる針葉樹林帯のことで、タイガともいいます。)
温帯林は他の2つに比べて全体の炭素蓄積量が少なくなっています。
表 各生態系の面積及び炭素蓄積量(1012㎡)
生物圏 | 面積 | 炭素蓄積量 | ||
---|---|---|---|---|
植物 | 土壌 | 合計 | ||
熱帯林 | 17.6 | 212 | 216 | 428 |
温帯林 | 10.4 | 59 | 100 | 159 |
北方林 | 13.7 | 88 | 471 | 559 |
熱帯サバンナ | 22.5 | 66 | 264 | 330 |
温帯草原 | 12.5 | 9 | 295 | 304 |
砂漠及び半砂漠 | 45.5 | 8 | 191 | 199 |
ツンドラ | 9.5 | 6 | 121 | 127 |
湿原 | 3.5 | 15 | 225 | 240 |
農耕地 | 16.0 | 3 | 128 | 131 |
合計 | 151.2 | 466 | 2,011 | 2,477 |
陸域生態系における炭素循環 - 国立環境研究所 掲載資料を基に作成
(出典:IPCC Climate Change2001 The Scientific Basis)
これらの違いは、樹木の成長速度や有機物の分解速度の差といわれています。湿潤で暑い熱帯では落下した枝や葉がすぐに分解して大気中に還り、気温の低い北方林では分解が遅く、大気中に還るよりも先に分解されにくい物質に変化して土壌中に蓄積されるのです。
炭素の蓄積・固定において、土壌は重要な役割を果たしています。植物の根や落ち葉など、腐敗した有機物から炭素は土壌に移動し、その大部分が土の中に残ります。有機物を腐敗させる菌やバクテリアなど微生物も、炭素が土壌の一部になるために重要です。土壌は、地上の植物に含まれる炭素をすべて合わせた量の約3~4.5倍、大気中にある炭素量の2倍を超える量の炭素を蓄積していると言われています。
参考リンク
『森づくりの原理・原則』正木隆著(全国林業改良普及協会)
陸域生態系における炭素循環-国立環境研究所
FOE Japan 世界の森はいま 森が守る環境
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