防火性の高い樹種はどれ?
山火事の時に木を伐り倒しますが、一方で防火林というものもあります。実は樹種によって防火性の大きなものから、危険なものまであるのです。では防火性の高い樹種はどれ?
- 落葉広葉樹
- 常緑広葉樹
- 針葉樹
2常緑広葉樹
正確には「ほとんどの常緑広葉樹」というべきで、全ての常緑広葉樹が防火性が大きいわけではありません。目安としてまとめると、
防火性大:大部分の常緑広葉樹
防火性中〜小:ほとんどの落葉広葉樹
危険:ほとんどの針葉樹、タケ、ササ
となります。枝葉の燃えにくさによる「延焼防止効果」と、植物自体が持つ「熱遮断効果」が大きいものは防火性に優れ、葉が厚くて水分を多く含む常緑植物が該当します。逆に葉に樹脂や油脂を多く含むスギやマツ類は延焼の可能性が高く、タケ、ササも燃えやすく危険だとされます。山火事の時に木が伐り倒されるのは、日本の山林に延焼の危険が高い針葉樹が多いためだと考えられます。
さらに、防火性の高い樹木でも1本だけでは効果を発揮できません。防火機能を発揮するためには群落になっていることが必要です。日本でも古くからある屋敷林を思い浮かべるといいでしょう。屋敷林は、延焼を防ぐ効果があるほか、熱気流や煙の上方拡散を促したり、飛火を消火する作用等も合わせ持っています。
群落になると次のような効果があるそうです。
- 水分の放出:多量の水分をもつ植生は熱せられると水分を放出して延焼を防ぐ。
- 輻射熱の遮断・拡散:輻射熱を遮断して、熱気流を上にそらせて火災の拡大を防ぐ。
- 火の粉をつかまえる:火がついた飛来物を補足して延焼の危険を減らす。
植栽に防火機能があったなんて知っていましたか? ご近所で敷地の境界にどんな木が植わっているか調べてみると面白いかもしれませんね。
参考リンク
森林群落の構造からみた防火機能の評価 (2)
鹿児島県「取り組み例(樹木による防火機能を利用する)」
森のクイズ:「居久根(いぐね)」って何?(屋敷林について)
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