国と国、国際機関、民間団体など様々なアプローチにより、地球規模で森林保全、持続可能な森林経営が推進されています。 それらの取り組みを大きく阻害するのが、違法伐採です。
違法伐採とは、一般に、各国の法令に違反して行われる森林の伐採を指し、法令で 定められた基準を守らない量や樹種を伐採したり、保護地域や伐採権がない森林を「盗伐」 するなどの例があげられます。
Riau, Indonesia(※1)
違法伐採された木材の多くは、丸太または木材製品として外国へ輸出ています。コストをかけずに生産された 違法伐採木材は、安価で流通したとしても大きな利潤が見込まれます。そのため、違法伐採木材が世界の木材流通価格を 7〜16%も押し下げているという報告もあります(全米林産物製紙協会、2004年)。
Mindanao, Philippines(※2)
このように違法伐採は、持続可能な森林経営を阻み、森林の減少や劣化をまねき、木材への信頼性をも損なう大問題です。 そのため、国際的に違法伐採撲滅に向けた取り組みが進められ、生産国、消費国など二国間・多国間での協力も進んでいます。
日本は、「違法に伐採された木材は使用しない」との基本姿勢にもとづき、木材の合法性を検証・確認するための ガイドラインづくりや、消費者に信頼される合法性確認システムづくりなどにも取り組んでいます。
では、違法伐採された木材を使わないため、ひいては世界的な森林減少を抑えるために、私たちにできることはあるのでしょうか?
日本は世界有数の森林保有国でありながら、同時に、有数の木材輸入国でもあります。木材自給率は27.8% (2009年、林野庁)、つまり7割以上は輸入に頼っているのです。
木材の輸入先は主にアメリカ、マレーシア、インドネシア、ロシア、オーストラリアなど。丸太や製材した後の柱や板、 木材パルプやチップなどの形で輸入しています。それらは主に、建築・土木用や紙の材料として使われています。
詳しくは・・・ 森のクイズ > 日本の木材自給率は?
大量に輸入した木材を使っている私たち日本人は、消費者として世界の森林に対する責任があります。 消費者としてできることは、まず、違法伐採された木材・木材製品は買わず、合法で持続可能な森林から 伐採された木材を選ぶことです。
世界共通の原則・基準に基づいた森林認証制度「FSCロゴマーク」(※3)
では、どうすれば「合法性」や「持続可能性」を見分けられるのか。 手がかりとなるのが「森林認証」です。
森林認証とは、森林が適切に管理されていることを第三者機関が認証し、その森林から産出された木材に認証マークを つけることにより、消費者が選択的にこれらの木材を購入することができるようにする民間主体の制度です。認証のための 審査は、専門の第三者機関が厳正に行ない、認証発行後も定期的に監査が行われ、より健全で持続的な 森林管理・木材加工流通システムの改善、向上に向けて継続的に取り組むしくみになっています。
Forest Stewardship Council、森林管理協議会
世界的規模で森林認証を実施している。WWF(世界自然保護基金)を中心として1993年に発足。
認証森林面積は、約1億3,116万ha、80ヶ国(2011/1/15)、
国内では約37万ha、33箇所(2010/11/23)。
Programme for the Endorsement of Forest Certification schemes
汎欧州プロセス等の規準・指標に基づく各国独自の認証制度を認証する仕組み。1999年成立。
相互認証した森林面積は、約2億2,966万ha、28ヶ国(2010/12/31)、
国内認証取得企業数 189社(2011/2/16)。
Sustainable Green Ecosystem Council、緑の循環認証会議
日本の林業団体、環境NGO等が日本独自の実情に合わせた制度として2003年に発足。
認証森林は、約86.5万ha(2010/12/26)、認定事業体は403事業体(2011/1/27)。
これらの認証マークを手がかりにして、私たちは日常、OA用紙などの紙類、ノートや封筒などの文具、 家具や建材などを購入するときに、合法で持続可能な森からの木材製品を選ぶことができます。そして、 それが世界の森林を、未来を守ることにつながるのです。
(※1)違法伐採1 | Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Wakx |
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(※2)違法伐採2 | Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by fveronesi1 |
(※2)FSCロゴマーク | Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Moff |