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森学ベーシック:1.日本の森・世界の森:SDGsと森

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森学ベーシック:1.日本の森・世界の森:SDGsと森

SDGsとは

SDGsは、2015年9月に国連本部で開催された「持続可能な開発サミット」で採択された、「我々の社会を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」。このアジェンダの中で、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標が揚げられました。

これが17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals—SDGs)」です。世界をより良く変えるための2030年に向けたマスタープランと言えます。

SDGs 世界を変えるための17の目標

それ以前、2000年には、貧困や飢餓の半減など、途上国の経済社会開発を目指す8つの目標からなる「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals—MDGs)が設定されました。そこから15年間で貧困・飢餓人口は半減したものの、トイレなど基本的な衛生サービスを利用できない人もまだ25億人居るなど、未解決の課題は山積。こうしたことから、MDGsの後継となるSDGsは、ユニバーサルで、世界を変革するをキーワードに、「誰も置き去りにしない」をスローガンに、設定されています。

SDGsの目標15は「陸の豊かさも守ろう」

このSDGsの目標の15は「陸の豊かさも守ろう」というもので、「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」との内容です。そして、目標15に紐づくターゲット2では、「2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる」とされています。

 

森林の持続可能な管理に向けては、国内外でさまざまな取り組みが進んでいます。これらは目標15に寄与すると同時に、例えば、目標2(食料)、3(保健)、7(エネルギー)、8(成長・雇用)、13番(気候変動)にも貢献するなど、すべてが繋がり合っています。

国際連合広報センター 2030アジェンダ
国連文書を基に外務省で作成した2030アジェンダ(PDF)

持続可能な森林の管理・経営

SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」についても、その実施指針が国や国際機関で打ち出され、持続可能な森林の管理・経営に向けても官民でさまざまな取り組みが始まっています。
ここでは、その中からいくつかの民間企業の取り組み事例をご紹介します。

タンザニアで住民参加型の森林経営

総合楽器メーカーのヤマハ株式会社は、管楽器に使用される希少木材の安定調達の実現を目指して、タンザニアでFSC認証材の生産に取り組むNGOと協力しながら、住民参加型の森林経営と植林活動を行うというプロジェクトをJICAの民間連携事業を活用してスタートさせました。

現地のNGOと協力して植林や持続的な森林経営を行い、これによって既存の楽器製造技術と販売マーケットを活かした資源の安定利用と、材料の利用効率向上を実現。さらに森林コミュニティの持続的な開発を目指すこのプロジェクトは、SDGsの目標15の持続可能な森林経営はもとより、12(生産・消費)、8(成長・雇用)など複数の目標に貢献するものとなっています。

次の世代に変わらない音色を ヤマハ - JICA

インドネシア中部 泥炭湿地林保全・回復プロジェクト

イトーキのWebサイト

オフィス家具のイトーキ株式会社は、ほとんどのパーツが国内で作られ製造から納品までに伴う温室効果ガス排出量が低い「nonaチェア」を、さらにREDD+プロジェクトで創出された排出権でカーボン・オフセット。
このプロジェクトは、大規模開発によってCO2が大量に放出されていたインドネシア中部カリマンタン州・カティンガン地区の泥炭湿地を保全修復すると同時に、泥炭地周辺の34のコミュニティに対し、泥炭地で栽培しているラタン材を用いた生計の確立や土地利用計画、水質保全のための設備投資促進など、地域貢献にも寄与しています。
イトーキは、SDGsの17の目標それぞれに対して働きかけを行っています。

カーボン・オフセット・プロジェクト - ITOKI

※「REDD+」は、途上国における森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などによって、温室効果ガス排出量を削減あるいは吸収量を増大させる努力にインセンティブを与える気候変動対策です。
REDD+ プラットフォーム

 

第1回ジャパンSDGsアワードに輝いた北海道下川町

北海道下川町は、「平成29年度第1回ジャパンSDGsアワード」の本部長(内閣総理大臣)賞を受賞しました。評価されたのは、「持続可能な地域社会の実現」をめざして、「①森林総合産業の構築(経済)」、「②地域エネルギー自給と低炭素化(環境)」、「③超高齢化対応社会創造(社会)」など先進的な取り組みを行って来た結果、森林バイオマスエネルギーによる地域熱自給率向上や人口減少緩和などの好傾向をもたらしたこと。また、「2030年における持続可能な地域社会ビジョン」を策定中で、そのビジョンを具現化するプロジェクトを実行していくこと、などです。

下川町は、平成15年にFSC認証を北海道で初めて取得。森林から搬出される材を無駄無く使うゼロエミッションの木材加工システムは全国的なモデルとされ、さらに製材端材や木くず等を原料とする木質ボイラー導入、地域熱供給システム導入、木質原料製造施設を整備など、木質バイオマスによるエネルギー転換を進めています。平成23年度には、国が進める「環境未来都市」及び「地域活性化総合特別区域」に認定・指定を受けており、バイオマス産業都市を目指す先進事例として注目されています。

下川町の経済×社会×環境の価値創造・統合的解決モデル

下川町の経済×社会×環境の価値創造・統合的解決モデル

コンパクトタウン「一の橋バイオビレッジ」全体図

コンパクトタウン「一の橋バイオビレッジ」全体図

北海道下川町 > 環境未来都市推進課
IGES > 世界初の都市版SDGsレポートを発表 ~「国連ハイレベル政治フォーラム2018」にて 国内3自治体のSDGs先進事例を発信~(2018.7)

2030年までに1000万tのCO2削減に取り組む再生可能エネルギー企業

株式会社レノバのWebサイト SDGsへの取り組み

全国9地域11カ所の運転開始済+建設中の再エネ発電所をはじめ、継続的に再生可能エネルギー事業の開発を推進する株式会社レノバ。その一つ、秋田県のバイオマス発電事業では、秋田県内の山に残されていた未利用材を使って発電を行い、カーボンニュートラルを実現すると同時に、未利用資源の活用や雇用の創出によって地域の活性化にもつなげています。これはSDGsの7(エネルギー)、13(気候変動)、15(陸上資源)などの目標達成に貢献する取り組みとなっています。

株式会社レノバ > SDGsへの取り組み

 

世界規模の取り組み

既に20年以上に渡って展開され、世界各国で多くの実績がある取り組みを2件ご紹介します。これらはSDGsの17のゴールすべてに森林が関わっている事を示唆しているような事例です。

国際モデルフォレストネットワーク

国際モデルフォレストネットワークのwebサイト

1992年、世界地球サミットの際にカナダが提唱した持続可能な森づくりを実践する団体の国際ネットワーク。カナダの10の森からはじまり、その後5大陸へ、現在では31カ国、60カ所の広大で多様性に富む森へと拡大。日本では「京都モデルフォレスト協会が2008年に加入しています。

国際モデルフォレストネットワーク ケーススタディ
京都モデルフォレスト協会

 

モデルフォレストの活動の特徴は、ランドスケープのスケールで考えること、そしてコミュニティの人々などを含む包括的なパートナーシップにあります。持続可能な森林管理に向けて、長期的視野からコミュニティが恩恵を享受できるような指針を立て、それを具体的な実務レベルにまで移す役割を、モデルフォレストが果たしています。世界共通の枠組みを用いつつ、活動の担い手は該当するコミュニティに暮らし、そこで働く人々です。

Introduction to the International Model Forest Network

国際モデルフォレストネットワークのWebサイトには、世界各国の様々な事例が紹介されています。

例えば、フィリピンのCarood Watershed地域では、マングローブ林の減少による洪水被害や漁獲量の減少、水質汚染などが問題となり、気候変動による被害の拡大も心配されていた。それに対してCarood Watershedモデルフォレストは、自治体と共に、コミュニティの若者にマングローブの植林を担わせ、地域住民にマングローブ保護のメリットを伝えるなどのキャンペーンを実施。若者を含む地域のボランティアが50万本の植林を行い、新たなプランテーションを築き、多種多様なマングローブからなる樹木園をつくって地元の大学生や人々の学びの場とするなど、マングローブ林再生への取り組みと成果が報告されています。

マングローブ林再生への取り組み「International Model Forest Network」 webサイトより

「International Model Forest Network」 webサイトより

また、カメルーンからは、2つのモデルフォレスト設立によって、地域の女性が様々な林産物の生産や販売に関わるようになり、収入も女性の地位も向上し、コミュニティの経済発展につながったことが報告されています。

この2つの実例を見ても、森林が貧困、教育、ジェンダー、水、働きがい、気候変動、海、陸、パートナーシップなど、SDGsの多くのゴールに関わっていることが明らかです。

PES(Payment for Ecosystem Servise)生態系サービスへの支払い

1990年代中頃から導入され始め、世界的に注目されている「PES(Payment for Ecosystem Services=生態系サービスへの支払い)」は、生態系サービスの受益者(消費者・地域住民など)が維持管理コストなどを負担するという考え方に基づく仕組みです。生態系サービスの保全に有効な手法として、すでに世界で約300以上の導入例が報告され、一つの潮流となっています。

1. 生態系サービスの受益者と供給者との自発的な売買 2. 生態系サービスの明確な定義化(またはそれらのサービスに関連する土地利用の定義化) 3. 生態系サービスの購入者(買い手)の存在 4. 生態系サービスの供給を管理する生態系サービスの供給者(売り手)の存在 5. 生態系サービス供給者が生態系サービスの供給を継続的に確実にすること

例えば、PESの取り組みが世界に拡大するきっかけとなったコスタリカの国家政策。1996年に、「林業法」で生物多様性保全など4つの森林生態系の環境サービスを規定し、助成の根拠を従来の木材産業支援から環境サービス確保へと変更。補助金の財源についても、政府予算ではなく税金と受益者負担へと改変しました。

その他、良質の水を必要とする企業がその水源の保全に協力する畜産農家に対し費用を支払うフランスの例、生物多様性や二酸化炭素固定のために州自治体が土地所有者や地元コミュニティに費用を払うコスタリカの例、キャップ&トレードの森林炭素オフセットプロジェクトを導入した米・カリフォルニア州の例など、様々な取り組みが広がっています。

日本でも宮城県・蕪栗沼の「ふゆみずたんぼ」、神奈川県・水源環境を保全・再生するための個人県民税の超過課税、とちぎの元気な森づくり県民税、高知県森林環境税など、いくつかのPESの取り組みが行われています。

環境省〜生態系サービスへの支払い(PES)

 

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